2007 Fiscal Year Annual Research Report
らせん高分子の自己組織化における分子認識機構の計算科学
Project/Area Number |
18550196
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 隆 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 教授 (00127797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦上 直人 山口大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (50314795)
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Keywords | らせん高分子 / 分子認識 / 自己組織化 / 結晶化 / 分子シミュレーション / 計算科学 |
Research Abstract |
我々は、分子シミュレーションを用いて、巨大な高分子の結晶化過程の分子的な機構の解明を行ってきた。特に近年は、複雑な構造を有し生命現象とも密接に関連する様々な螺旋高分子の研究、特に結晶化過程における分子認識(らせんセンス認識)の微視的なメカニズムの解明を目指している。最も単純な構造を持つ"裸の螺旋"および現実的な螺旋高分子(アイソタクティック・ポリプロピレン;iPP)の結晶化過程の詳細なMD計算を行い、螺旋センス認識の分子過程がシミュレーションによって再現できることを見出した。H19年度においては、一般的な螺旋分子モデルとしてiPPをとりあげ、その三次元的な結晶成長過程を、剛体分子鎖の仮定のもとでのMC計算(off-lattice MC)を開発し、結晶化の解明、結晶格子の対称性と結晶キラリティーの不思議な関係の解明などに取り組んだ。 先ず、結晶格子の対称性と結晶のキラリティーとの間に明確な一対一対応が存在することを示した。結晶格子が六方対称性を有する場合、結晶は右巻きらせん(R)か左巻きらせん(L)のどちらかの螺旋分子からなるキラルな結晶が最安定であること、他方、格子が斜方晶的な対称性を持つ場合はRとLの分子鎖が交互に秩序配列したアキラルな構造が自動的に形成されること、などを見出した。 同様の計算方法を高温無秩序状態からの急冷過程に適応し、その存在が古くから知られていた(構造には以前謎が多い)準安定smectic相の構造を解明した。また、β相とα相との間の構造相転移の分子機構も究明した。
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Research Products
(11 results)