2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリカチオンの多点吸着効果を利用する核酸選択吸着剤の開発
Project/Area Number |
18550198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂田 眞砂代 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (60187391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 満 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (40363519)
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Keywords | DNA吸着 / ポリカチオン / ジメチルアミノプロピルアクリルアミド / リガンド / セルロース粒子 / イオン相互作用 / 細孔径 / イオン強度 |
Research Abstract |
本年度は,核酸(DNA)に対する選択吸着能をもつ新規吸着剤の開発を目的とし,種々のポリカチオン固定化cellulose球状粒子を調製した。得られた高分子吸着剤は以下のような特長を示した。 1)ポリ(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)(PDAPA)をリガンドとしたPDAPA-cellulose(細孔径M_<lim>2×10^3)は,pH7.0,幅広いイオン強度域(μ=0.2〜0.8)でDNAを選択吸着できた。タンパク質回収率は、96%以上であり、DNA吸着率は99%であった。 2)PDAPA-cellulose吸着剤の基体の細孔径M_<lim>(サイズ排除クロマトグラフィによる排除限界分子量)を2×10^3から>2×10^6まで増大させると,吸着剤に対するDNAの吸着容量は0.9から1.6mg/ml-adsorbent)へと著しく増大した。 3)細孔径の大きいPDAPA-cellulose(M_<lim>>2×10^6)は,緩衝液が低イオン強度域(μ=0.05〜0.2)の条件下においては,その細孔内にDNAばかりでなくタンパク質(アルブミン)も吸着してしまい,DNAを選択吸着することはできなかった。同吸着剤はイオン強度域μ=0.4以上の条件下でアルブミンを吸着することなくDNAを選択吸着することができた。 4)ポリアリルアミンおよびポリエチレンイミンをリガンドとした吸着剤は、幅広いイオン強度域で高いDNA吸着能を維持できたが、タンパク質(アルブミンおよびγ-グロブリン)も同時に吸着(10〜20%)してしまい、DNA選択性にやや劣るという結果が得られた。 以上の結果より、リガンドのカチオン性・疎水性・配向性、および基体の細孔径を制御することにより、生体環境に近い緩衝液中で、種々のタンパク質水溶液に混在するDNAを選択吸着除去可能な吸着剤を設計できることがわかった。
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Research Products
(2 results)