2006 Fiscal Year Annual Research Report
高性能時間分解高周波電子スピン共鳴装置の開発と励起状態研究への応用
Project/Area Number |
18559001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
イスラム サイフル 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (80431469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 清語 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10127152)
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Keywords | 時間分解ESR / 高周波ESR / 励起三重項 / WバンドESR / 励起高スピン状態 / 金属ポルフィリン / フラーレン誘導体 / ゼロ磁場分裂 |
Research Abstract |
本年度は、"高性能高周波時間分解装置"の製作と励起三重項への応用研究を行った。 1."高性能高周波時間分解装置"の製作については、以下の通りほぼ計画通りに進んだ。 (1).時間分解能1ナノ秒の超高速化-高帯域150MHz増幅器を用いることで、装置の時間分解能を150ns以上から5ns以下にすることができた。 (2).光ファイバーを用いた高効率の光照射-サンプル管にファイバーを立て、外からのファイバーとの連結部をつくり、光照射の効率を3倍以上上げることができた。 (3).時間分解データの3次元可視化-ExcelとIgorを利用することで、信号を磁場、時間、強度軸の三方向で観測し、表示することに成功した。 2.励起三重項の研究については、いくつかの質的に全く新しい結果が得られた。 (1).溶液中の励起三重項状態ダイナミクス-高時間分解能を利用して、トルエン中の金属ポルフィリンの高周波ESR信号の観測を観測して、溶液中のスピン格子緩和時間を測定した。 (2).低温固相の金属ポルフィリン励起三重項の高周波ESR信号を観測して、g値の異方項を決定した。Znポルフィリンでは初めてg値の異方性が決められた。Mgポルフィリンについては、更なる高周波ESRが必要であることがわかった。 (3).フラーレンの励起三重項についてもg値の異方性項を決定して、これまでに報告されていたデータが間違っていることを明らかにした。 (4).高周波であることを利用して、熱分極の励起三重項スペクトルを観測し、三重項副準位の順序と項間交差速度の絶対比を求める方法を確立した。
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