2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体固有ジョセフソン接合における超伝導状態の不均一性とその制御の研究
Project/Area Number |
18560011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 実 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (10314238)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / トンネル現象 / 低温物性 / 強相関電子系 / 固有ジョセフソン接合 / トンネル分光 / 不均一超伝導状態 / ドープ量依存性 |
Research Abstract |
1. 微小メサ構造形成法の研究と特性改善 1辺が1-2μm、厚さ3nmの微小ナノメサ構造を作製する際に、真空中で劈開すると最表面の固有ジョセフソン接合の最大ジョセフソン電流が異常に小さくなるという問題があった。素子作製に使用するBi系高温超伝導体の単結晶を過剰ドープにすることにより、この問題を解決することができた。過剰ドープ単結晶は、PbドープBi2212結晶やBi2223結晶などから得られ、2kA/cm2以上の最大ジョセフソン電流密度が可能となった。 2. Bi系固有ジョセフソン接合のスイッチング確率分布特性と巨視的量子トンネル効果(MQT) 最表面ジョセフソン接合が250A/cm2の試料において0.4KでMQTクロスオーバーを観測した。Pbドープ結晶から得られた試料において、5K以上でスイッチング確率分布を測定し1.4K程度でクロスオーバー温度が存在することを予測した。いずれのクロスオーバー温度も微小メサ構造では最も高い。 3. 不均一性の起源について ドープ量によって固有ジョセフソン接合の最大ジョセフソン電流が指数関数的に変化することを、高温超伝導体の実空間における不均一性と波数空間における非一様性(異方性)の両面から検討を加えた。その結果、高温超伝導体では波数空間でノード方向からキャリアが増大するという非一様性があり、これと高温超伝導体のd波異方性が合わされて最大ジョセフソン電流の異常なドープ量依存性が現れることを示した。
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