2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体超格子における電界ドメインの非線形ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
18560013
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
細田 誠 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 教授 (80326248)
|
Keywords | 非対称多重量子井戸 / 半導超格子 / 量子井戸 / 電界ドメイン / 非線形ダイナミクス |
Research Abstract |
本年度は非対称多重量子井戸が多層構造となった多重量子井戸超格子について、そのドメイン形成の非線形ダイナミクスと電流発振現象に関する研究を行った。このような非対称多重量子井戸超格子構造における電流発振現象に関しては、これまでまったく報告が無かったが、筆者はある種の非対称多重量子井戸において、電界ドメインの不安定性に起因する高周波電流発振が発生することを発見し、その原因を解明した。以下に、その意義を述べる。一般的な半導体超格子においては超格子部の全てが等しく同じ幅を持った量子井戸と、等しく別の同じ幅を持ったバリア層からできており、その場合の電界ドメインの発生と電流発振現象が報告されている。しかしながら、それらの超格子においては電界ドメインを発生させるためにはある程度バリア層を厚く作る必要があり、トンネル時間の増大によって発振周波数が低くなると言う欠点があった。それに対し、今回使用した非対称多重量子戸超格子においては電流発振の新規性に加え、薄いバリア層がからんだsubband間共鳴によって電界ドメインが発生するため、本方式をさらに改良するならばより高い発振周波数を得ることも可能となる。上記に加え、同様の非対称多重量子井戸超格子において、これまでGaAs/AlAs超格子系では観測されていなかったホール準位間における間接遷移をPLによって観測することに成功し、どのような構造であればホール間接遷移が強く起こるのかを明らかにした。以上の結果は現在、米国物理学会刊行のPhys. Rev. B誌に投稿予定である。その他、前年度に解析を行った有限長超格子多重構造のドメイン発生に関する論文をPhys. Rev. B誌に投稿し、掲載された。また、ドメインの発生に影響する高位エネルギー準位に関する研究も行い、数編の論文が掲載された。
|
Research Products
(4 results)