2007 Fiscal Year Annual Research Report
ステップ構造制御基板を用いたパルス光照射結晶成長に関する研究
Project/Area Number |
18560017
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
大下 祥雄 Toyota Technological Institute, 大学院・工学研究科, 准教授 (10329849)
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Keywords | 電子デバイス / 電子・電気材料 / 半導体物性 / 結晶成長 / 太陽電池 |
Research Abstract |
GaInAsを4接合セルの第3セル材料として用いた多接合型太陽電池は、40%を超える超高効率が実現できるとして期待されている。しかし、少数キャリア寿命が短く、期待するほどの変換効率が得られていない。少数キャリア寿命が短い理由は、結晶内における窒素濃度の不均一や、未解明の欠陥に由来するとされ、本問題の解決が期待されている。一方、さらに将来的には、量子ドットなどの微細な3次元構造を有したデバイスの実現が期待されている。そこで、我々は、上記の課題を解決でき、さらには将来の3次元構造を有したデバイス作成に必要な技術として、ステップ構造の制御とパルス光照射による新たな結晶成長方法に関して研究を進めている。 今年度は特に、ステップ構造が膜質に与える影響を明らかにすることを目的とした。具体的には、ステップ密度およびステップ種を変化させたGaAs基板を用いて、GaAsN薄膜のCBE成長を行い、N濃度増加と電気特性向上を試みた。その結果、ステップ種によりN取り込み効率、成長速度、残留キャリア密度、移動度に与える影響が異なる事を見出した。N濃度の観点では、AB-stepが有効である事が示された。また、いずれのステップ種も残留キャリア濃度低下および移動度向上に有効であった。特にAB-stepの試料は、最も残留キャリア濃度が低く、N濃度が増加しているにもかかわらず高い移動度が得られ、電気特性向上に有効である事が示された。 従来、本材料系においては、窒素濃度が増加するとそれに伴い結晶性が劣化するとの認識が一般的であった。それゆえ、今回、高窒素濃度においても高品質な結晶が得られことを示すことができたことは、良い結晶性を有する本材料を実現する上で非常に重要な結果である。次年度においては、上記ステップの影響に加えて、光パルスの影響を調べることにより、前記目標の実現に向けて研究を進めていく。
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Research Products
(1 results)