2007 Fiscal Year Annual Research Report
全反射蛍光顕微鏡法の像特性改善:走査型光学系の導入と偏光最適化
Project/Area Number |
18560028
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
加野 裕 Muroran Institute of Technology, 工学部, 准教授 (80322874)
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Keywords | 全反射蛍光顕微鏡 / 放射状偏光 |
Research Abstract |
本年度は,走査型全反射蛍光顕微鏡の照明系に与える偏光を最適化することで,顕微鏡像特性の改善に取り組んだ. 理論解析より,走査型全反射蛍光顕微鏡では,放射状偏光を照明系に与えると,点像分布関数がシングルピークを形成し,かつその半値全幅が最少化されることを確認できたため,その実現を図った.放射状偏光を生成するデバイスとして,研究計画の通り,液晶セルを利用した.この液晶セルは,片側に同心円状の,もう一方に直線状のラビングパターンを施した基板を用いて組み立てられており,これに左右対称偏光を入射させることで放射状偏光を生成することができる.左右対称偏光の生成には,左右で膜厚が異なる誘電体膜をコートしたガラス基板を用いた.膜厚は,励起光の波長(830nm)において,位相差πを与えるように設計した.この素子が,近赤外フェムト秒パルスレーザー光に対して適正に動作することを確認した後,顕微鏡照明系に組み込んだ. 試作した顕微鏡装置で,カバーガラス上に分散させた直径200nmの蛍光ラテックス微小球を観察したところ,シングルピークの像を得ることができた.偏光操作素子を用いない場合(直線偏光照明),同じ微小球の像が2つのピークを持ち,大きさがほぼ2倍であった.また,像の明るさを比較したところ,放射状偏光を用いる場合の像がおよそ4倍明るいことを確認した. 以上より,偏光最適化による像特性改善を実験的に確認できた.
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