2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560039
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
篠田 博之 Ritsumeikan University, 情報理工学部, 教授 (40278495)
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Keywords | 視覚 / 解像力 / 視力 / ボケ順応 / 中枢 / 大脳 |
Research Abstract |
視票の網膜像サイズを一定に保ったまま,大きさ感のみを変えて,視力に現れる影響を測定した.これまで,文章の読み易さと大きさ感を扱った研究はあったが,本実験では,より基本的な解像力として,ランドルトCを用いて最小分離閾値を求め,大きさ感の影響を調べた. 実験では,被験者の両脇にディスプレイを配置し,目の前に置かれたミラーを通して左右眼独立に刺激画像を呈示した.その際,呈示位置を左右の刺激で対称に平行移動することで,輻輳角(両眼の視線が成す角)を操作した.ディスプレイから被験者までの距離は一定であるため,網膜像の大きさは変わらない.しかし,輻輳角が大きいときは近くの対象物を観察する状況に相当し,知覚される距離は近くなり,大きさ感は小さくなる.逆に,輻輳角が小さいと知覚される距離は遠くなり,大きさ感は大きくなる.ランドルトCを用いて恒常法により最小分離閾値を求め,その逆数を視力とした.ただし,ディスプレイ解像度の限界のため,十分小さなランドルトCを呈示できず,コントラスト100%の通常視力を求めることができない.そのため,白色背景上に高輝度のランドルトCを呈示し,コントラストを1.7%に下げた視票に対して最小分離閾値を求めた. 輻輳角を大きくすると,視票の網膜像の大きさは変わらないにもかかわらず,視力は低下した.逆に,輻輳角を小さくすると,視力は上昇した.しかし,ある一定値以下の輻輳角ではそれ以上視力は上昇せず一定の値に収束した. 視力は眼球光学系と網膜神経系のハードウェアによって決まるだけでなく,中枢によってもコントロールされる.その空間解像度の制御には,知覚される大きさ(大きさ感)が用いられることが示された.
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