2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物における磁気および熱電応答の理論的研究
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18560043
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
小椎八重 航 Sendai National College of Technology, 総合科学科, 准教授 (20273253)
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Keywords | 熱起電力 / ネルンスト効果 / コバルト酸化物 |
Research Abstract |
本研究では,コバルト酸化物Na_xCoO_2を参照系として,遷移金属酸化物における磁気および熱電応答の理論的研究を理論的に調べた.我々はこれまで,熱起電力の高温極限を与える公式を導き出し,これをもとに,コバルト酸化物の熱電応答を議論してきた.本研究では,高温極限からのアプローチを取り,熱起電力やネルンスト効果の係数などの計算に,retraceable-path methodの手法を拡張して用いた.これは基本的には高温展開法の一つとして捉えることができ,強相関電子系の取り扱いに有効なものである. コバルト酸化物Na_xCoO_2の磁性と伝導を担うのはCoO_2層のt_<2g>電子系である.我々は,電子間の強いクーロン相互作用に基づく,局所的なスピンと軌道の自由度の重要性を見出した.すなわち,スピンと軌道の自由度が導く局所的な電子状態の縮退は,熱起電力の増大に結びつくばかりでなく,電子状態の幾何学的対称性をも制御しているのである.我々は,t_<2g>電子の飛び移り積分が篭目格子を形成し,Coイオンが形作る三角格子はt_<2g>軌道の縮退を反映した4つの篭目格子に分解されることを見出した.また,CoO_2層および軌道配置の対称性から,電子の飛び移り積分が正の符号を持つことがわかる.これは高温極限から温度の減少に伴い単調に減少する関数形を導き,高温でR_Hが正であり線形の温度依存性を示すときには,ネルンスト効果の係数が正であり温度に逆比例することが明らかとなった.
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Research Products
(6 results)