2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560045
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小矢野 幹夫 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (60195873)
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Keywords | 熱電変換 / 熱電性能 / 局所ペルチェ係数 / ナノスケール / ナノコンタクト / ビスマスーアンチモン合金 / 磁性元素 / 偏析磁性体 |
Research Abstract |
現在世界の多くの研究室で,熱電材料を微細化することにより熱電性能を向上させる試みが活発に行われている。この現状を踏まえ,本研究課題では,ナノスケールにおける熱⇔電気エネルギー変換過程を明らかにするため,『ナノコンタクト型熱電性能評価装置』を構築し,これを用いて微細スケールにおけるエネルギー変換過程がバルクの場合とどのように異なるかを実験的に明らかにすることを目的としている。平成19年度は下記の研究実績と成果を得た。 ●ナノコンタクト型熱電性能評価装置の完成と局所ペルチェ係数の測定 熱電材料表面に探針をナノスケールで接触させ,このコンタクト部の熱電性能を測定するシステムを完成させた。断熱真空中でのコンタクトの制御には,長いストロークと100nmの精度を兼ね備えた直線型アクチュエータを用いた。このシステムを用いて,実際に製品に応用されているp-型ビスマス・テルル系熱電材料に,Pt-Irやマンガニンの探針を接触させ,局所ペルチェ係数を測定することに成功した。コンタクト径はおよそ10μmである。実測された局所ペルチェ係数はバルクの値II=54mVよりも小さいが,コンタクト径の減少とともに局所ペルチェ係数が増加する傾向が明らかとなった。これは世界で初めての成果である。この結果は,システムサイズが微細化することによって熱電性能が向上することを示唆しており,熱電材料を微細化することによる熱電性能の改善の方向が妥当であることを示している。 ●ビスマス-アンチモン合金(Bi-Sb合金)系熱電材料の合成と熱電物性 NiやMnなどの磁性元素をドープすることにより,Bi-Sb合金の熱電性能が大きく変化することを明らかにした。これは,磁性を担う3d軌道と母体の軌道の混成による状態密度の変化と,偏析磁性体によるフォノン散乱の効果などが複雑に寄与しているものと考えられる。
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Research Products
(8 results)