2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560045
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小矢野 幹夫 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (60195873)
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Keywords | 熱電変換 / 熱電性能 / 局所ペルチェ係数 / ナノスケール / ナノコンタクト / ビスマス-アンチモン合金 / 磁性元素 / 偏析磁性体 |
Research Abstract |
現在世界の多くの研究室で,熱電材料を微細化することにより熱電性能を向上させる試みが活発に行われている。この現状を踏まえ,本研究課題では,ナノスケールにおける熱⇔電気エネルギー変換過程を明らかにするため,『ナノコンタクト型熱電性能評価装置』を構築し,これを用いて微細スケールにおけるエネルギー変換過程がバルクの場合とどのように異なるかを実験的に明らかにすることを目的としている。平成20年度は下記の研究実績と成果を得た。 ●ナノコンタクト型熱電性能評価装置の完成と局所ペルチェ係数の測定 前年度に完成させたナノコンタクト型熱電性能評価装置を用いて,実用熱電材料であるp型-(Bi,Sb)_2Te_3焼結体の局所ペルチェ係数を室温で測定した。コンタクト径は約10μmである。実測された局所ペルチェ係数の値はII^*=31 mVであった。この値はバルク値II=54 mVよりも小さいが,コンタクト径の減少とともに局所ペルチェ係数II^*が増加する傾向を見出した。この成果は招待講演として2008年の熱電国際会議(ITC2008)で発表され,新たなナノ熱電特性評価法として好評を博した。現在,より制御された探針を用いて,単結晶(Bi,Sb)_2Te_3劈開面での局所ペルチェ係数測定を行っており,新たな情報が得られるものと期待している。 ●ビスマス-アンチモン合金(Bi-Sb合金)系熱電材料の合成と熱電物性 Bi-Sb合金にNiやMnなどの磁性元素をドープすることにより,電子状態が変化し,熱電性能が変化することを見出した。特にNiをドープした場合,x=0.03の濃度で電子状態密度が増加し,この変化に対応して熱電性能が向上した。さらにこの研究の副産物として,Bi-Ni-Sbが磁性元素を含む超伝導であることが明らかとなった。
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