2006 Fiscal Year Annual Research Report
気泡ダイナミクス制御による超音波化学反応場の高効率化に関する研究
Project/Area Number |
18560051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
辻内 亨 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (70357515)
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Keywords | 超音波 / キャビテーション気泡 / ソノケミカル反応 / 音響化学発光 / パルス照射 / 液高 / 流動 / 溶存気体濃度 |
Research Abstract |
気泡ダイナミクス制御によりソノケミカル反応装置を可制御かつ筒効率なものとするために、超音波化学反応をパルス照射により液高を変えて行い、液高とデューティ比の最適化を図ることを基本的な研究目的とし、また、高効率化に重要な、気泡導入や流動付与、溶存気体濃度変化が与える影響の評価、最適条件における気泡の数的評価を光散乱等の光学的手法により行う。今年度の成果として、連続照射との比較においてパルス照射条件を適切に選択することにより7倍以上の高効率反応をもたらすことに成功した。詳細は以下の通りである。高さ1500mm、縦100mm横100mmの反応容器中に、液高430mmとなるようルミノール水溶液を満たし、163kHz超音波を電気投入電力10W、15Wのそれぞれについて連続波およびパルス波駆動を行った。高さ方向のルミノール音響化学発光分布を今回導入した移動装置に光センサを装着し、移動しながら測定した。10Wで比較すると、千サイクル照射-二千サイクル休止を繰り返すパルス照射による分布の空間和は、連続照射時の空間和に対し7.1倍を得た。このパルス照射時の分布の特徴として、液面近傍と中間領域に2つのピークが生じていることを見出した。10W、15Wそれぞれサイクル数を二千サイクル照射-二千サイクル休止の場合も同様の2ピークがほぼ同位置に出現し、上述の空間和倍率についても約7.0倍とほぼ同じであることが判明した。ソノケミカル反応に有効な、平衡半径として数ミクロンの大きさを有するキャビテーション気泡の数を増加すべく、混合した圧縮空気と液体をノズルから噴出させて生成した微小な気泡を、ソノケミカル反応場内に適切な音源近傍の側方から流動付与しつつ導入すると、高い反応速度が得られることがルミノール発光の観測と強度測定からわかった。溶存気体濃度が適度な低濃度に調整されると、さらに反応速度が上昇することがわかった。
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