Research Abstract |
本研究の目的は,常微分方程式の初期値問題および境界値問題,積分方程式,微分代数方程式など,工学に現れるさまざまな基本的な方程式の高精度数値解を効率よく求める方法を,二重指数変換を応用して確立させ,それを実行するプログラムを開発することにある. 平成18年度には,Volterra型積分方程式と,2階および4階の常微分方程式の境界値問題に対して,非線形問題も含めて,二重指数変換に基づく効率の高い新しい数値解法の研究を行い,具体的なプログラムを開発した. Volterra型積分方程式に関しては,微分代数方程式との関連で研究を行った.すなわち,微分代数方程式は,適当に微分を行ってから改めて積分を行うと,連立のVolterra型積分方程式に変形できるが,それを解くことによって近似解を求めることができる.Volterra型積分方程式を解く方法としてこれまで開発してきた二重指数変換に基づく解法を採用することによって性能の高い数値解法を得たが,この成果はすでに論文にまとめ,投稿中である. 2階常微分方程式の境界値問題の数値解法に関して,不定積分に対する二重指数公式をGreen関数法に応用し,新しい数値解法を導くことに成功した.この方法は,いわゆる特異摂動問題の数値解を求めるためにも有用であることが明らかにされ,今後の応用範囲の拡大に期待がもてる.この研究成果に関してはすでにJapan J.Industr.Appl.Math.に発表した. 4階常微分方程式の境界値問題の数値解を二重指数変換に基づくSinc collocation法によって求める方法はすでにわれわれが確立しているが,今年度は同じ問題に二重指数変換に基づくSinc Galerkin法を適用して数値解を求めることに成功した,これはすでにJ.Comput.Appl.Math.に採録決定となり,現在印刷中である.
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