2007 Fiscal Year Annual Research Report
SMA薄膜マイクロアクチュエータの水素環境劣化機構の解明と寿命評価法の構築
Project/Area Number |
18560081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 拓 Kobe University, 工学研究科, 准教授 (80236629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 善一 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90155656)
塩澤 大輝 神戸大学, 工学研究科, 助教 (60379336)
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Keywords | マイクロマシン / 形状記憶合金 / アクチュエータ / 水素環境 |
Research Abstract |
本研究課題は,薄膜化による応答速度向上が検討され,マイクロマシン用として期待が高まっているTiNi形状記憶合金(SMA)薄膜マイクロアクチュエータの実用化を促進するために,薄膜化に伴って特に問題となることが予想される,水素環境下におけるTiNi合金の遅れ破壊の寿命,および形状回復機能の劣化寿命を明らかにし,その寿命評価法を提案することを目的とするものである.本年度は以下のように研究を行った. 1. 水素環境下における遅れ破壊試験と遅れ破壊過程のAFM観察 超積層圧延法,およびスパッタリング法で作製した二種類のTiNi薄膜マイクロアクチュエータ(厚さ4〜16μm)に対して,前年度に構築した微小材料試験装置を用いて,塩酸中での水素チャージ環境における一定負荷の下での遅れ破壊試験を実施した.二種類の薄膜マイクロアクチュエータいずれにおいても,試験時間が長くなるとともに強度が低下した.この挙動は,水素チャージ時間とともに増加する拡散水素量に対応していた.同じ試験時間で比べた場合,より薄いマイクロアクチュエータのほうが強度低下が著しかった.AFM観察の結果,遅れ破壊では表面に脆性的な微小き裂発生が発生し,これが急速に進展することで破壊に至ることが解った. 2. 水素環境下における繰返し形状回復試験 同じ薄膜マイクロアクチュエータに対して,水素チャージ環境下での繰返し形状回復試験を実施した.試験時間の経過とともに形状回復が不完全となり,繰返し数依存ではなく時間依存型の水素環境劣化であることが解った.同じ塩酸濃度で比較すると,薄いアクチュエータのほうが劣化が著しかった.以上の結果を総合して,マイクロアクチュエータの寿命に及ぼす拡散水素量の影響を軸とし,アクチュエータ厚さの影響を取り込んだ寿命評価法を検討した.
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