2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸伏 壽昭 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70103231)
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Keywords | 形状記憶合金 / 形状記憶ポリマー / 超弾性 / 疲労 / 複合材料 / 二次賦形 / 形状記憶効果 / 形状固定性 |
Research Abstract |
形状記憶合金および形状記憶ポリマーについて長期機能特性の研究を行った。得られた主要な結果は次のようにまとめられる。 (1)TiNi形状記憶合金の長期機能特性で重要な疲労特性を形状記憶合金細線、超弾性細線、超弾性細管高超弾性細線および形状記憶合金薄板に関して回転曲げおよび平面曲げの疲労試験を行い、曲げ疲労特性を調べた。いずれの材料に関してもひずみ振幅が1%以上の低サイクル域においては、ひずみ振幅と破断繰返し数で表す疲労寿命曲線は両対数グラフで直線になる。疲労寿命は温度が高いほど短い。これは温度が高いほどマルテンサイト変態の降伏応力が高く、繰り返し変形に伴う疲労損傷がが大きいいために現れる。ひずみ振幅が1%以下になると疲労寿命曲線は水平になり、破断繰返し数は10^6回以上になる。この場合のひずみ振幅は0.6%〜0.8%の範囲にあり、R相変態の終了域のひずみである。したがって、長期使用が必要な形状記憶合金素子はR相変態域で使用することが望ましい。平面曲げでひずみ比が異なる場合、低サイクル疲労に関してはひずみ比が小さいほど疲労寿命は短い。これはひずみ比が小さいほど各サイクルにおける散逸仕事が大きく、このために疲労損傷が大きく、疲労亀裂の進展が速いために現れる。大気中での疲労試験に関しては繰返し変形に伴う温度上昇はひずみ振幅が大きいほど大きく、このために繰返し作用する応力が高くなり、結果として寿命は短くなる。 (2)ポリウレタン系形状記憶ポリマーに関して長期の形状固定制と形状回復性をフィルムの引張試験とシートの曲げ試験により調べた。長期間形状を保持した場合、保持条件に依存して非回復ひずみが現れることを見いだした。この非回復ひずみの特性に対して影響する因子に形状保持の条件がある。特に形状保持の温度がガラス転移温度以上になると形状保持の時間に依存して非回復ひずみが増加する。非回復変形特性は形状記憶ポリマー素子を成形加工する立場から考えると単純な機構で記憶素手を成形する方法に応用できる。この特性を二次賦形と呼び、二次賦形特性の形状保持条件への依存性を調べた。この結果、二次賦形率は形状保持の温度、時間およびひずみに依存することを明らかにした。またこれらの因子により二次賦形率表す関係式を提案した。二次賦形した後の材料の変形特性、形状記憶および形状回復特性は今後の研究課題である。 (3)形状記憶合金と形状記憶ポリマーによる形状記憶複合材料の研究を行った。両者は高温と定温における変形特性が異なるので、その特性を組み合わせることにより新たな高機能複合材料の開発の可能性を提案した。提案した複合材料の特性を調べるためにTiNi形状記憶合金とポリウレタン系形状記憶ポリマーにより複合材料を作製した。作製した複合材料に関して、基本特性を調べたところ、形状記憶合金ファイバーと形状記憶ポリマーマトリックスとの界面の接着強度が不足して、期待通りの特性が得られなかった。この点は今後の研究課題である。
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