2006 Fiscal Year Annual Research Report
連続体力学で制御された分子動力学によるマイクロ加工メカニズムの解析
Project/Area Number |
18560102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲村 豊四郎 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (60107539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武澤 伸浩 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (50236452)
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Keywords | 分子動力学 / マイクロ加工 / 単結晶銅 / アモルファス銅 / せん断すべり / 解析解 / カードモデル / 先在欠陥 |
Research Abstract |
1.加工は材料を制御された様式で破壊していくことに他ならないことを示し、マイクロ加工といえども、その破壊にはマクロスケールに蓄えられたひずみエネルギーが関与することを明確にした。したがってマイクロ加工のメカニズムを解析するためには、ミクロ現象のみ扱える分子動力学(MD)だけでは不十分であり、マクロ連続体の力学場を記述する解析解によってMDモデル内のミクロ変位場を大域的に制御しながら、シミュレーションを実行する「解析解制御MD」と呼ぶ新手法を開発した。 2.解析解制御MDを用いて、単結晶銅のマイクロ加工における切りくず生成メカニズムの解析を行った。その結果、一次せん断域における結晶のせん断すべりは、通常考えられているような単純すべりではなく、先在欠陥を起点とした複数のすべり系でのミクロの交差すべりがマクロに見たすべり面の方向に堆積していき、堆積が飽和したとき我々が言うせん断すべりが起きることが判明した。これによって、一次せん断域における結晶のせん断すべりが間歇的に起きる理由と、すべり面同士の間隔が原子の格子間隔よりはるかに大きい理由が明確になった。 3.解析解制御MDを用いて、アモルファス銅のマイクロ加工における切りくず生成メカニズムの解析を行った。アモルファス銅のマイクロ加工形態は、単結晶銅と同様の一次せん断域における間欠的なせん断すべりが実験的に観察されている。この実験結果は原子レベルの観察ではなく、サブマイクロメートルの分解能での観察であり、均質なアモルファスが間欠すべりを起こす原子レベルのメカニズムは不明であった。解析解制御MDによるシミュレーションの結果、アモルファス銅は工具から力を受けると、先ず多結晶銅に局部的に相変態し、次にこのようにして出来た結晶粒界に沿ってせん断すべりを起こすことが判明した。また相変態は、工具からの応力によって原子がポテンシャルの障壁を乗り越えて、より安定な位置へ移動することにより起きることも明らかになった。
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