2006 Fiscal Year Annual Research Report
超精密位置決めシステムのための多機能・能動型静圧継ぎ手の開発
Project/Area Number |
18560105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
水本 洋 鳥取大学, 工学部, 教授 (80108795)
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Keywords | 位置決め / 工作機械 / 静圧軸受 / 能動制御 / 自成絞り / 静圧継ぎ手 / ナノテクノロジ |
Research Abstract |
本研究は超精密工作機械のための位置決めシステムに関するものである。本研究で提案する位置決めシステムの特徴は駆動機構と位置決めテーブルを接続している静圧継ぎ手にある。これまでにも静圧継ぎ手の提案は数多くなされているが、本研究で開発された静圧継ぎ手では組み込まれている静圧軸受が能動制御されることを特色とするもので、このようは「能動型静圧継ぎ手」は過去に全く例を見ない独創的なものである。本年度の研究により、この能動静圧継ぎ手を採用した位置決めシステムには次のような機能が備わることを明らかにした。 (1)駆動機構の振動が位置決めテーブルに伝わりにくい これは静圧継ぎ手本来の機能であり能動制御を行わなくとも得られる特徴であるが、超精密位置決めシステムにとっては不可欠の機能である。本研究の位置決めシステムでは駆動機構としてツイストローラ摩擦駆動装置を用いているが、マイクロメートルオーダの振幅の横方向振動が生じてしまう。しかしながら、静圧継ぎ手を介して接続される位置決めテーブルの真直度、横方向振動の振幅は10ナノメートル程度に抑えられ、テーブル運動精度が向上することを実験的に確認している。 (2)位置決めテーブルの位置決め方向剛性を向上させられる 静圧継ぎ手の採用により上記(1)のようなテーブル運動精度の向上が期待されるが、このとき送り方向剛性の低下が生じてしまう。そこで継ぎ手に組み込まれた静圧軸受の能動制御をおこなうことで送り方向剛性を向上させようとすることが本研究の独創である。実験により、静的負荷に対する剛性(静剛性)は無限大にできること、動的負荷については振動数10Hz程度までは能動制御の効果により動剛性の向上することを確かめた。 (3)位置決めテーブルを高分解能で位置決めできる 本研究の位置決めシステムには2つの位置決めモードがあり、基本的にはツイストローラ摩擦駆動装置により位置決めを行うが、能動型静圧継手により短ストロークの微動位置決めを行うこともできる。つまり上記(2)の剛性向上機能を若干修正し、軸受面の空気膜厚さを制御すれば微小な位置決めが可能になる。この微動位置決めモードでのストロークは200nm程度と短いが,ステップ位置決め実験の結果、1nm, 0.5nm, 100pmの各ステップは明瞭であり,50pmのステップも識別可能であった。このことより、能動型静圧継ぎ手の位置決め装置としての分解能は少なくとも50pmであることを明らかにした。
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