2007 Fiscal Year Annual Research Report
転がり接触面の塑性変形進行を考慮した転動疲労発生限界
Project/Area Number |
18560143
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松本 將 Waseda University, 大学院・情報生産システム研究科, 教授 (40367173)
|
Keywords | トライボロジー / 機械要素 |
Research Abstract |
局所転がり接触圧力による塑性変形進行とその飽和現象を解明した。初年度に明らかにした球を用いた点接触での塑性変形と潤滑状態変化が、線接触の端部(エッジ部)でも生じることを確認し、塑性変形が生じる条件では、初期形状に基づく端部には転動疲労損傷は生じないという新たな知見を得た。 光干渉式弾性流体潤滑油膜観察測定装置を用い、ころ(ローラ)を試験片として、線接触端部に局所接触圧力が生じる状態での、油膜厚さ変化をin-situ計測した。その結果、塑性変形の進行に伴い端部の油膜形成状態が変化することが観察できた。すなわち、端部塑性変形の進行により、端部の接触圧力状態が緩和され、接触圧力が最も大きい(油膜厚さが最も薄い)領域が、初期形状による端部から、本体軸方向内側へ移動することが判った。転動面の耐久性に影響する接触端部は、材料がシェイクダウン(塑性変形飽和)するまで移動し、初期の形状端部とは異なる箇所が新たな接触端部となり、転動疲労損傷が発生する箇所になることが推定された。 更に、この推定を確認するためにテーパーローラを用いた4ローラ転動疲労試験機を用いて、強制的に端部強当り状態をつくり転動疲労試験を実施したところ、疲労ピットは初期形状端部(テーパ端部)ではなく、より内側に生じることが確認できた。 これらの結果から、歯車や転がり軸受の接触端部転動疲労損傷防止設計は、端部の局所接触圧力を計算して損傷発生繰返し数と発生位置を予測する必要があることが判った。 19年度結果を踏まえ、20年度は片当り等で端部が塑性変形する転動面の転動疲労損傷発生限界確認試験を実施し、損傷を防止するための端部形状設計手法を取りまとめて行く予定である。
|