2006 Fiscal Year Annual Research Report
成形変質層を積極的に利用した射出成形プラスチック歯車の研究開発
Project/Area Number |
18560148
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Miyagi National College of Technology |
Principal Investigator |
大久 忠義 宮城工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (40099768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松谷 保 宮城工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (60042256)
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Keywords | 射出成形 / プラスチック歯車 / 機械要素 / 成形変質層 / 静音性 |
Research Abstract |
静音性に優れた成形プラスチック歯車を開発するために、これまでの研究に使用してきた歯車の諸元を変えるとともに、国内において射出成形プラスチック歯車に多用されているポリアセタール樹脂を用いて成形条件の中の金型温度を変えて成形した歯車の成形変質層を解析した。解析にあたり、学内設備のミクロトームで歯を所定の部位まで切り出し、その薄片を偏光顕微鏡を介して撮影し、結晶の少ない表層部から結晶の集合体であるコア部までの組織を画像処理ソフトにより結晶の密度を求めた。さらに、これを裏付けるために購入した微小硬度計を用いて、歯の内部についてピッチ円方向とそれに歯先面に平行なピッチ円上の面における硬さを調べた。また、画像処理解析結果と微小硬さ試験による硬度分布との関連性を明らかにするために、歯の薄片を用いたイメージングIRによる結晶化度の解析から、画像処理による結晶密度および硬さ値との相関関係を得ることができた。また、これらの研究からコア部の硬さが周辺よりも大きな値を示し、歯面に近いほど硬さ値が小さくなることが判明した。この他、金型温度を変えた歯車の歯内部を解析した結果から、金型温度が低い成形条件で成形した歯車ほど比較的柔らかい層を有する変質層厚さがわずかに大きいことがわかった。この変質層が歯車による回転伝達あるいは動力伝達での騒音に与える影響を調べるために、平歯車およびはすば歯車の動力試験を行った結果、精度の良いコポリマーの歯車よりもやや精度の低い変質層厚さが中間のポリアセタールホモポリマーで成形した歯車の騒音が低いことが判明した。これについては研究代表者が2007年精密工学会春季大会において発表を行った。
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