2007 Fiscal Year Annual Research Report
成形変質層を積極的に利用した射出成形プラスチック歯車の研究開発
Project/Area Number |
18560148
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Research Institution | Miyagi National College of Technology |
Principal Investigator |
大久 忠義 Miyagi National College of Technology, 機械工学科, 准教授 (40099768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松谷 保 宮城工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (60042256)
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Keywords | 射出成形 / プラスチック歯車 / 成形変質層 / 動力試験 / 騒音レベル / 摩耗 / 微小硬さ試験 |
Research Abstract |
射出成形プラスチック歯車の歯内部やウエブなどは成形条件によって変質層厚さが異なる。本研究は、歯車運転時の騒音レベルを下げるための変質層厚さを薄くする従来の手法とは異なり積極的に成形変質層を利用する手法を採り、成形変質層の厚みが歯車の静音性に影響を及ぼすことを立証することを目的とした。これまでの研究から歯内部に生成される変質層は表面ほど軟質であり、歯のコアの部分は硬いことが微小硬さ試験から立証された。今年度は現有の試作歯車動力試験機を2000RPM程度の回転可能とする性能改良を加え、成形条件を変えて製作したプラスチック歯車の動的試験を行った。その結果、成形変質層の厚みが大きいほど摩耗量に影響するが、初期の騒音レベルは低い。変質層厚さが薄いほど摩耗量が少ない反面、騒音レベルが高いことが実験より判明した。このことは、変質層厚さが厚いほど歯のかみ合い時に摩擦が原因で生じる磨耗粉が固体潤滑の役割を果たし、かつ、非結晶並びに結晶密度が低い層からなる軟質な組織で構成された歯内部の衝撃吸収によるものであることが成形した板材の打撃試験からも裏付けられた。しかし、高速かつ高負荷時の運転では摩耗粉はわずかなため、衝撃吸収の効果が現れなかった。これらの実験により変質層厚さは歯の撓み量に影響を及ぼすことから、適度な変質層厚さが必要であり、高負荷ほど変質層厚さが薄く、低負荷ほど変質層厚さを厚くすることで騒音レベルを低く抑えられることがわかった。
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