2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
土佐 正弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, グループリーダー (20343832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 章 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主幹研究員 (70354355)
後藤 真宏 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主任研究員 (00343872)
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Keywords | トライポロジー / コーティング / 固体潤滑材 / 軌道環境 / 暴露試験 / 真空 / 表面分析 / 摩擦測定 |
Research Abstract |
宇宙軌道上環境において紫外線照射や原子状酸素衝突に耐えうる酸化物系低摩擦真空潤滑被膜の開発しスペーストライボロジー科学技術発展に資することをめざしてまず初年度においては国際宇宙ステーションが飛行する宇宙軌道上環境において1年以上暴露された固体潤滑材コーティング試料について摩擦係数変化や表面構造の変質を調べた。宇宙軌道環境暴露(1年及び2年間)試料の摩擦係数、ならびに加熱後の真空中摩擦の時間変化を測定したところ、暴露しないステンレス鋼試料の測定では粗さによる差異はあるものの一般に真空中加熱により摩擦係数が増大し(μ:0.3〜0.4)、時間が経過してもほとんど減少していかない(10^6sec後でμ:0.2〜0.3)が、1年間曝露したステンレス鋼試料では、加熱による摩擦係数の上昇が小さく、また、冷却後は低いμ値に短時間で戻ることが示された。さらに、他の暴露試料についても同様の傾向が見られ、特に、cu試料、TiN試料、MoS2試料、およびCu+BN混合膜コーティング試料についても加熱によっても真空摩擦の上昇はほとんど観察されなかった。また、2年間暴露した試料では、MoS2試料以外は若干の摩擦増加傾向にあることが示された。このように軌道上暴露では各種照射線を受ける厳しい真空環境であるにもかかわらず摩擦係数の上昇があまり見られないことが示されたためにその原因を調べるべく表面化学状態分析を行った。軌道暴露TiN被覆試料の深さ方向の主要元素の組成変化をX線光電子分光分析器を用いて測定したところ、非暴露被覆試料では全く観察されないケイ素系の酸化物層が表面近傍に観察され、この酸化物層が暴露試料の摩擦係数変化に何らかの影響を及ぼしているものと考えられるが、次年度以降に詳細に検討したい。
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Research Products
(6 results)