Research Abstract |
本研究では,リンク機構を用いた動力源を用いずに風車の回転により翼ブレードの迎角(ピッチ角度)を流入風向に合わせて揺動させることで,固定ピッチの風車よりも多くの風力エネルギーを回収できる高性能な垂直軸風車の開発を目的としている。 先ずは,風向追従方向制御機構の検討を行った。揺動翼方式の本風車の場合は,出力が風向が存在するため,偏心リンクに小型プロペラ風車のヨー制御に用いる尾翼を付加することで,風向に対して最適な偏心角度が0度に成るようにパッシブな制御を行った。その結果,尾翼による偏心角度制御が可能であることを示した。そして,尾翼は,風車後流の影響を受けない位置に設置した比較的大きなもの方が角度制御に適することを明らかにした。 次に,市販コードのFLUENTを使用して,直線翼型垂直軸風車周りの流れと特性について乱流数値シミュレーションを行った。その結果,固定ピッチ型風車の出力特性は実験結果と良い一致を示した。また,揺動翼方式風車の起動特性に関して,翼が220°の回転位置において,固定ピッチ型風車の4倍のトルクが発生することを示し,本風車の起動性が良いことを明らかにした。さらに,多流管理論での簡易的な特性の予測プログラムを研究協力者のELKHOURY氏の協力で作成して,低周速比において比較検討を行っているが,揚力と抗力係数の実験データー不足をFLUENTで補い,実験値とどの程度合うかを現在,検討している。また,風車騒音に関しては,先ずはブラフボディーからの音に関して研究を行い,LESによる乱流数値シミュレーション結果からの圧力変動に伴う二重極音源から発生する空力音についてCulreの理論に基づき,音圧レベルや周波数について実験値と比較し,定量的な一致を得た。今後は,回転物体から発生する音についてのモジュールの構築を行う。以上の研究成果は,日本機械学会,日本風力エネルギー協会の講演会など国内外で報告した。
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