Research Abstract |
平成18年度は,振動流の発生臨界の特定,自由表面を持つ回転流の分岐線図の決定,実画像およびシミュレーション結果からの撹乱発達過程の追跡を行うためのシステムの開発を行った. 自由空間に置かれた凹矩形キャビティで発生する振動流の特性と,その抑制制御法を調べた.矩形キャビティ内の流れでは,これまでにも,モデル2とモデル3の振動モードが卓越することが,実験的に知られている.本研究は,近似を高めた高精度計算により,モデル2の振動モードの挙動を,数値的に確かめた.その上で,振動を低減する方法として,矩形キャビティの底面を主流速度に沿った方向に移動させる,動的制御法を提案した.底面の移動により,矩形キャビティ内での渦構造が大きく変化する.そして,この構造変化が,流れ場全体の振動流の抑制をもたらす.これらのメカニズムを数値的に予測し,最適な制御方法を探った. 有限長の回転2重円柱間のテイラー渦流れにおいて,新しく,上端面が自由表面である場合の分岐構造を調べた.流れのモデルでは,重力効果と表面張力効果を取り入れた.発達した非定常流において,実験的測定と数値的予測の結果が,よく一致することを確かめた.その上で,正規3セル流と正規1セル流および正規5セル流と正規3セル流の間の分岐線図を特定した. 非定常な流れの発達を定量的に把握するために,可視化した流れの時系列情報から,渦の発生,消滅,融合を追跡する方法を提案した.また,この追跡方法を人の運動の把握にも適用し,その有用性を確認した. これらの成果は,雑誌論文などで公表した.
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