2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱乱流における速度境界層の直接測定と巨視的流動パターンの解明
Project/Area Number |
18560162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 義之 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00252255)
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Keywords | 熱乱流 / 巨視的流動 / スケーリング / 速度・温度境界層 / 低Pr数流れ |
Research Abstract |
巨視的流動に関して、粒子画像流速計測(PIV)をおこなった。従来から考えられてきた巨視的流動のパターンは、時間的に安定(定常)に存在するわけではなく、局所的に強い流れが3次元的に形成されることがわかった。アスペクト比Γ=1の場合には、底面から湧き上がるプリュームによって駆動された流れが側壁を伝わる過程で半径方向への偏差を伴い、これが流れの3次元性の原因になっていると考えられる。この(r,θ)面内での揺らぎの大きさは、スペクトル解析から、セル中心や上部での周期的変動を引き起こす原因であることも明らかになった。 小型サーミスタを用いて温度の計測をこない、速度変動との関連を考察した。セル上部では冷たい下向き流れが卓越し、下部では暖かい上昇流が優勢となる。セル中心で観察された速度の周期的な変動は、温度変動には見出すことができなかった。すなわち、プリュームの移動経路は側壁近傍に限定され、セル中心には影響しないといえる。しかし、この傾向はPr数が大きくなると異なり、セル中心にも速度変動と同様の周期性が現れる。 これに対して、アスペクト比r=0.5では、巨視的流動のパターンはまったく異なる。セル上部では冷たい上向き流れ、下部では下向きの暖かい流れが優勢となる。セル内のいずれの場所においても、速度と温度の変動に周期性は見出されなかった。(r,θ)面内においても、変動の様子は大きく異なり、アスペクト比Γ=1とは、流動のメカニズムが異なることが示唆される。 以上の結果は、透明流体(水)による結果であるが、不透明金属液体(水銀)を用いた流動計測を超音波流速計を用いておこなった。Pr数の小さな水銀では、熱の移動が活発であり、その影響が巨観的流動のパターンにも影響を与える。詳しい解析は継続中であるが、平均速度プロファイルや乱れの分布、Nu数などのRa数依存性が異なる。これらは全て、本研究課題である速度境界層と温度境界層の振るまいがPr数によって大きく異なることに対応することが予想される。
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Research Products
(4 results)