Research Abstract |
鉛直下方に一様な流速で流れる気流中に,加熱された平板が水平上向きに設置される体系は,液晶パネル基板等に各種の機能性薄膜を蒸着する場合などに見られる。この基板に均一な膜を生成するには,上向き加熱基板上に生じる強制-自然共存対流の流動と伝熱特性を明らかにする必要がある。そこで,本研究では空気を対象に,流れの可視化および局所熱伝達率の測定を行い,平板まわりの流動、伝熱を調べた。実験には,幅W=50,100mmの2種類の試験平板を用い,平板の片側表面を等熱流束加熱した。また,縦型吸込式風洞を用いて一様な空気の下降流を実現した。実験は,平板幅W基準のレイノルズ数Re_W=37-2000,修正レイリー数Ra_W^*=6.2×10^4-5.3×10^7の範囲で行った。その結果,以下の知見が得られた。まず,平板まわりの流れを煙により可視化したところ,強制対流支配下では,平板の中心から端部へ向かう層流くさび流れが生じた。浮力を大きくしていくと,平板に沿う境界層が厚くなり,遂には煙が平板中心からプルームとなって離脱、上昇する流れが生じた。以上の可視化結果を参考に,加熱平板の局所熱伝達率を測定した。その結果,浮力が小さな条件下では,平板の局所熱伝達率は強制対流層流くさび流れの値に一致するのに対して,浮力の増加に伴って,熱伝達率は強制対流値よりも高くなることが分かった。そこで,平板の平均ヌッセルト数Nu_mを求め,無次元パラメータを用いて整理を行った結果,共存対流域のNu_mは強制および純自然対流の平均ヌッセルト数Nu_f,Nu_nよりも高くなることが分かった。また,その比(Nu_m/Nu_f),(Nu_m/Nu_n)は,無次元パラメータ(Gr_W^*/Nu_mRe_W^2)によりまとめられることがわかった。さらに,Nu_mがNu_f,Nu_nのいずれとも一致しない領域を共存対流域と定義すると,共存対流域は,0.3<(Gr_W^*/Nu_mRe_W^2)<15.0で表せることが分かった。
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