2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジメチルエーテル燃料ディーゼルエンジンにおける異常噴射の研究
Project/Area Number |
18560211
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
是松 孝治 Kogakuin University, 工学部, 教授 (50124962)
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Keywords | 熱工学 / 新エネルギー / 再生可能エネルギー / 可視化 / 流体工学 |
Research Abstract |
DME燃料ディーゼル噴射装置特有のキャビテーションの原因になる「噴射に伴う負圧」の発生について,「高圧容器と低圧容器を電磁弁で遮断しておき,急激に開く」流路を用いて,現象の本質だけを取り上げた研究を行った.主な論点は,噴射装置の設計ツールとして使われる計算モデルをいくつかの実験で検討し,DMEの場合でもその有効性が示された。具体的に明らかになった点を以下に示す。 1.減衰効果を考慮しない場合,電磁弁の急激な動きによって生ずる圧力波が顕著に現れる.電磁弁を開くとそこに近い点の圧力は初期のP_Hから急速に低下しP_Lに近づく,これが管路内に伝わり,高圧容器で正圧波となって反射し管路を逆向きに伝わる.そこでは圧力がP_H付近まで急増する.この正圧波は低圧側容器に達すると再び負圧波となる.この間,圧力経過を反映し流速は階段状に上昇するが最終的には定常速度vsとなる. 2.実際の噴射装置に近い管路寸法下において減衰係数が大きくすると定常値の流速V2は小さくなり,圧力P2は大きくなることから定常に達する時間は短くなることがわかる. 3.計算と対応する実験として,電磁弁を境にして高圧容器と低圧容器を管路で結び,この状態で電磁弁を開き,管路の両端および中央の圧力と温度を測定した.主な結果をまとめると次のようになる. 1)低圧容器に接近している点の圧力は,電磁弁が開くと急速に低下するが,高圧容器に接近している点の圧力はほぼ一定値に保たれる.管路の中央位置の圧力は両者の間になっている. 2)開弁後の管路内の状態は以下の3領域に分割される.すなわち 第I領域:開弁直後の圧力波が管路内を伝ぱしている領域である. 第II領域:圧力波は減衰するが慣性効果によって圧力と速度が時間的に変化している領域 第III領域:定常状態に達している領域である.ここでは,ポアズユ流れが成立している.
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