2008 Fiscal Year Annual Research Report
高減衰合金をばね要素として用いた制振装置の設計手法に関する研究
Project/Area Number |
18560239
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤本 滋 Shonan Institute of Technology, 工学部, 教授 (80386888)
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Keywords | 制振材 / Mn-Cu合金 / 制振装置 / 動吸振器 / 歩道橋 / 振動 / 地震 / 減衰比 |
Research Abstract |
(1)歩道橋のための最適な制振装置を設計・製作するためには実際の歩道橋の振動特性を把握することが必要である,今年度の研究では,歩道橋の腐食がその振動特性に及ぼす影響を明らかにした.腐食の進んだ歩道橋の振動特性把握のため,4種類の振動試験を行った.今回と過去2年間の計測結果を比較した結果,固有振動数および振動モードが変化して来ていることが明らかにされた,以上から,構造物の腐食が進むと,支持構造の剛性や支持条件の変化により構造物の振動特性が変化し,初期に構造物に設置された制振装置の制振性能が低下する可能性があることが明らかにされた. (2)制振装置のばね材と減衰材を兼ねるMn-Cu合金板ばねの振動による繰返し変形がその減衰特性に及ぼす影響を調べるため昨年度に引き続き追加振動耐久試験を行った,Mn-Cu合金板ばね4体を用いてそれぞれ100万回の繰り返し変形を与えた結果,繰り返し数が増加するにつれ減衰比は20〜30%程度低下するが,20万回を越えると減衰比は安定する傾向にあること,また,変形量が小さい試験体ほど減衰比の低下の割合は小さいことが明らかにされた.設計段階においてMn-Cu合金板ばねに生ずる予想変形量を小さくすることにより,Mn-Cu合金の高減衰特性を維持できる見通しが得られた. (3)歩道橋用制振装置の制振性能および制振性能を評価する振動解析手法の妥当性を確証するために歩道橋模型およびMn-Cu合金板ばねを用いた制振装置模型の振動試験および振動解析を行った結果をまとめた,振動試験においては,Mn-Cu合金板ばねを用いた動吸振器の良好な制振性能が確証された,また,Mn-Cu合金板ばねの非線形減衰特性を考慮した振動解析モデルを用いて振動試験に対するシミュレーションを行った結果,試験結果と解析結果はよく一致し,解析手法の妥当性が検証された.
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