2006 Fiscal Year Annual Research Report
メカトロニクス機器の非線形特性を利用した省エネルギー化の研究
Project/Area Number |
18560250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
泉 照之 島根大学, 総合理工学部, 教授 (10212953)
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Keywords | メカトロニクス / マニピュレータ / バランサ / 減速機 / 減速比 / 省エネルギー / 散逸エネルギー / 最適化 |
Research Abstract |
1 減速機のクーロン摩擦を考慮した最適軌道 メカトロニクス機器のサーボ機構は多くの場合減速機を含んでいる.したがって,この機器で散逸されるエネルギーは,モータでのジュール熱以外に減速機での摩擦熱がある.まず,クーロン摩擦力が減速機の効率で表現できることを導き,クーロン摩擦力がモータからの伝達トルクの絶対値に比例するとした新しい運動方程式を構築した.これは非線形の運動方程式になるので,伝達トルクの正負に対して,最適制御理論を適用してそれぞれの一般解を求めた.そして,電流の連続性など物理的な条件を満たすようにそれらの一般解を接続して,最適速度関数を決めた.この散逸エネルギーを最小にする最適速度関数が減速機の効率をパラメータとして表現できることがわかった.その後,粘性摩擦も考慮して,より正確な最適速度関数に発展させることに成功した. 2 散逸エネルギーを最小にする減速比の決め方 大きな減速比が要求されるメカトロニクス機器の減速機は,多段で構成されている.したがって,その減速機のクーロン摩擦力は減速比の関数になり,効率および最適速度関数も減速比に関係することを導いた.それによって,最適速度関数のもとで得られる最小エネルギーを減速比の関数で表すことに成功した.また,減速機自身の慣性モーメントも減速比によって変わるので,散逸エネルギーを最小にする最適減速比が存在することを発見した. 3 バランサの最適設計と実験 垂直3関節形マニピュレータの散逸エネルギーを最小にするバランサシステムを考えた.マニピュレータの第2,第3リンクに質量-質量バランサ,ばね-質量ばねバランサ,ばね-ばねバランサシステムを取り付けることを考え,これらのバランサシステムの省エネルギー効果や実現の難易度を調べた.その結果,ばね-質量ばねバランサシステムが総合的に最もよいことがわかった.
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