2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560252
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松永 信智 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (10363508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川路 茂保 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30040421)
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Keywords | 痛みモデル / 表面痛 / 皮膚 / 痛みセンサ / 安全制御 / 有限要素解析 / 歪みエネルギー |
Research Abstract |
従来の安全システムは、機械と人間を空間的・時間的に分離するという概念を基本としているが、今後ロボットが社会や家庭などに進出してくるに伴い、ロボットと人間を空間的・時間的に分離することは受容し難い条件となる。人間は、痛みを感じ利用する機能を有していることから、怪我や事故から身を守る行動ができると考えられる。そこで本研究は、機械に人間の痛みを模擬した機構を実装することにより、擬人化により安全・安心な機械系を実現することを目的とする。痛みには様々な分類があり生理学的にも異なるメカニズムとなることから、本研究では人間に加えられる機械刺激により生ずる代表的な痛みを扱うこととし、人間の痛みに関する工学的なモデルを構築し人間-機械系の安全制御への応用を試みる。平成19年度には、以下の研究課題に取り組み成果が得られた。 1.皮膚構造を考慮した痛みの工学的モデルの構築:皮膚表面に印加される痛みの種類と皮膚構造に関する考察を行なった。機械刺激を印加した際の皮膚各層の変形量を超音波エコー装置にて計測し,有限要素法(FEM)解析により皮膚の超弾性パラメータを推定した。得られたパラメータを利用して,機械刺激が印加される際の皮膚内部の歪みエネルギー密度(SED)のFEM解析を行ない、脂肪層と筋肉層の境界にSEDが集中し二次痛が発生することを示した。痛みは発痛物質の産生により生じるため、皮膚内のSEDを入力とし発痛物質の産生と消滅を伝達関数で近似したモデルにより痛みの動特性を模擬した。 2.痛みセンサの試作と評価:皮膚内のSEDをFEM解析により推定することは、ロボットへの実装上のボトルネックになる。そこで、人間の人間の表皮、脂肪層、筋肉層の皮膚構造を模擬した痛みセンサユニットを開発した。1つのセンサユニットは20×20[mm^2]で皮膚構造を模擬した三層構造となっている。層の境界で発生する歪を強誘電性ポリマーフィルム(PVDF)で検出することで皮膚内に発生するSEDを模擬する。痛みセンサを用いて、人間の主観的な痛みを模擬できることを実験により明らかにした。
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Research Products
(2 results)