Research Abstract |
初年度の研究として,実験装置の整備および基本的情報を得る基礎実験を行った.既設の進行波型直接エネルギー変換模擬実験装置において,減速器外部回路をトロイダルコアと可変コンデンサを用いて構成し,減速器へ変調ビームを入射した際の回路の誘起電圧を調べた.その結果,変調電圧に対する回路誘起電圧の利得は,約-75dBであり,過去の実験からの予測よりも低い値となった.この結果は,減速器電極のビーム通過孔の直径が16mmの場合であるが,本課題と密接に関係する能動型減速器の実験において,減速器電極のビーム通過孔の直径を6.8mmとしたところ,従来の記録を飛躍的に更新する20%を越えるエネルギー回収率を達成した.能動型減速器においては,減速器電極は電界を形成するための電極であるため,できるだけビーム通過孔を小さくする必要がある.一方,受動型減速器では,誘起電圧の向上のためには,できるだけビーム電流を大きくすべきで,そのためビーム通過孔は大きくする必要があると予想されたが,電圧誘起過程に際しても,大きな通過孔に伴う電界の乱れがあるものと予想され,ビームの通過孔について検討が必要である.次年度は,この改良を通じて,誘起電圧の向上を図る. その他,TWDECの動作を数値計算にて調べるべく,従来の数値計算コードに回路動作を組み込んだ.単純なライン型伝送回路を対象として,妥当な計算結果が得られることを確認した.次年度は,これに荷電粒子の作る空間電荷電界を導入できるよう整備し,実験で問題となった減速器の電極形状による電界の乱れの程度を見積り,自己誘起電圧の向上に役立てると伴に,本来の自励発振動作の過程解析を行う.
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