Research Abstract |
最終年度の研究として,昨年度に続いて模擬自励発振動作を目指した実験を行った.既設の進行波型直接エネルギー変換模擬実験装置において,自励発振の元となる減速器外部回路の誘起電圧信号には,放射電磁波による雑音が重畳している.自励発振動作の実現のためには,変調ビームがもたらす信号成分を抽出する必要があり,そのために,電源等高周波系の動作をそのままに,減速器へのビームの流入のみを制御できる堰き止め板を新たに設置した.ビームを堰き止めた状態の信号を雑音とみなし,種々の条件下で雑音を除いた信号を測定した.その結果,プラズマ生成に伴うと予想される,制御が困難な複数の動作モードが存在することが確認された.今後,プラズマ源の改良を進め,模擬自励発振動作の実現を目指したい.その他,TWDECの動作を数値計算にて調べるべく,これまで使用してきた空間1次元の計算コードを2次元に拡張した.これにより,昨年度の実験で得られた電極のビーム通過孔の大きさの違いによる電界の違いや,粒子の電極への衝突などについて,計算によって評価を行った.さらに,これに荷電粒子の作る空間電荷電界を導入したが,ビーム入射口付近に形成された空間電荷電界が予想よりはるかに強い.これは,計算機の制約による接地境界位置が実験条件と異ることや,プラズマ生成に使用している外部印加磁場の効果がモデルに入っていないことなどが差異の原因として考えられる.今後,モデルの見直しと伴に,計算法の工夫によって,問題解決をはかる予定である.
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