2006 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタリング法による電気化学的に活性な水和酸化物及び水酸化物薄膜の作製
Project/Area Number |
18560297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿部 良夫 北見工業大学, 工学部, 教授 (20261399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 克孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (80091552)
川村 ミドリ 北見工業大学, 工学部, 助教授 (70261401)
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Keywords | 反応性スパッタリング / 水和酸化物 / 水酸化物 / 固体電解質薄膜 / 電気化学 / エレクトロクロミック / スーパーキャパシタ |
Research Abstract |
プロトン伝導性の固体電解質として期待されるTa_2O_5薄膜を反応性スパッタリンング法により作製した。スパッタガスにO_2+H_2O混合ガスを用いた場合のプラズマ状態を発光分光分析法で調べたところ、OH基およびH原子の発光が認められ、H_2O分子がプラズマ中で解離していることを確認した。次に、スパッタガスのH_2O流量比、スパッタ電力を変えて作製した薄膜試料について、膜中に添加された水素量をフーリエ変換赤外分光法(FTIR)と2次イオン質量分析法(SIMS)により分析した結果、H_2O流量比の増加とスパッタ電力の低減が膜中水素量を増加させる上で効果的であることを明らかにした。また、今回作製した中で最も水素添加量の多い試料のH/Ta比は、約20%であった。 そこで、水素添加したTa_2O_5薄膜のイオン伝導性について、ACインピーダンス法を用いて10mHz〜1MHzの周波数範囲で測定したが、抵抗が非常に大きく、イオン伝導度を測定することができなかった。X線反射率法(XRR)でTa_2O_5薄膜の密度を評価したところ、約6.5g/cm^3と比較的大きい値が得られたことから、今回作製したTa_2O_5薄膜は、密度の高い緻密な構造となっているため、イオンの移動度が低く、伝導性が低下してしまったものと推測している。 基板表面におけるスパッタ粒子のマイグレーションを抑制して膜密度を低下させること、および膜表面からのH_2O分子の脱離量を減して膜中水素量を増加させるためには、基板温度の低減が効果的であると予想されるので、冷却液循環装置を用いて基板を冷却できるようにスパッタ装置を改造した。予備検討の結果、基盤温度をマイナス20℃程度まで下げられことを確認できたので、成膜実験を進めている。
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