2007 Fiscal Year Annual Research Report
高機能ニオブ酸カリウム圧電薄膜の作製と広帯域・低損失弾性表面波フィルタへの応用
Project/Area Number |
18560302
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
垣尾 省司 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (70242617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 恭彦 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (50006277)
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Keywords | ニオブ酸カリウム薄膜 / 高周波スパッタ / 弾性表面波 / 弾性表面波フィルタ / エピタキシャル成長 / 圧電薄膜 / 配向性薄膜 / 分極処理 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、高機能な弾性表面波基板構造を得るためにLiNbO_3基板上にニオブ酸カリウム(KNbO_3)薄膜を作製することを目指して、高周波スパッタ法による良質なKNbO_3配向膜の作製とその評価、LiNbO_3上へのエピタキシャル成長面の作製、およびKNbO_3/LiNbO_3基板構造上の弾性表面波伝搬特性について検討した。 1.成膜後のKの欠乏を防ぐために予めKリッチとしたターゲットを用いた高周波スパッタ法により、MgO基板上へKNbO_3薄膜を作製し、その配向性をX線回折パターンにより、組成比をXPSによりそれぞれ評価した。基板間隔を短縮することで、配向性は劣化する反面K/Nb比は増加すること、酸素ラジカルパワーを増加させるとK/Nb比は減少に転ずるものの、良好な配向性が得られ、面間隔がKNbO_3バルク斜方晶に近づくことを明らかにした。また、AFMによる薄膜表面観察から、配向膜において一様なグレイン構造をもつことを明らかにした。さらに、すだれ状電極による配向膜への分極処理時に、変位電流がキュリー点付近にて観測され、配向膜内のドメインの存在を確認した。 2.熱処理によるLi_2O外拡散により、LiNbO_3上に斜方晶KNbO_3(200)に近い面間隔をもつ面が形成されることを明らかにし、成膜条件の最適化によってLiNbO_3上へのKNbO_3結晶膜成長の可能性が高いことを示した。 3.LiNbO_3上に理想的にKNbO_3が成長した構造に対して弾性表面波特性の理論解析を行った結果、成長方位によってはLiNbO_3の7倍の35%の結合係数が得られること、リーキー表面波においてゼロ伝搬減衰が得られることを明らかにした。これらの特性から、提案構造は広帯域・低損失フィルタに有効であることを示した。
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