2007 Fiscal Year Annual Research Report
非対称な磁束ピンニングセンターを用いた超伝導素子の基礎的研究
Project/Area Number |
18560307
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
原田 直幸 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00222232)
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Keywords | 超伝導 / 人工ピン / 臨界電流 / 素子 / 磁気光学効果 / 磁束ピンニング / 非対称 / 真空蒸着 |
Research Abstract |
超伝導薄膜に非対称な人工ピンニングセンターを導入することにより、通電方向に対して臨界電流密度が異なる素子の実現に向けて必要な基礎的な特性を得ることを目的に、非対称な人工ピンの導入とその効果を定量的に比較するための実験を行い、整流素子の可能性について検討した。 19年度は以下の(1)〜(3)の内容を実施した。 (1)非対称な人工ピンの設計を行うためのシミュレーションと素子の設計検討を行った。 (2)加工周期が4〜6μmの範囲で、非対称な人工ピンを導入するマスクパターンを設計し、真空蒸着装置を用いてサファイア基板上に作製した超伝導Nb膜にステップ状の非対称人工ピンを導入した。 (3)臨界電流密度の非対称性を検証するために、磁化特性や磁気光学効果を用いた実験を行った。 以上の検討や実験により、(1)磁気光学効果を用いた磁束密度分布の観察では、超伝導膜への磁束の出入りにより非対称性が現れることを観察した。(2)一方、磁化測定では今回作製した人工ピンの非対称性が十分に大きくないために、磁化特性において非対称性までは確認できなかった。(3)実験結果をもとに非対称人工ピンを導入した超伝導膜の電流-電圧特性を測定するため、素子の作製方法や実験方法の検討を行った。 これまでの実験や検討の結果、非対称な人工ピンの導入することにより、磁気光学効果を用いた観察から超伝導体に流れる電流の非対称性を得ることは原理的に可能であると考えられる。今後は非対称性を大きくするための人工ピンの導入方法や形状、導入する材料について最適化を図る必要がある。
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Research Products
(6 results)