2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560311
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野見山 輝明 Kagoshima University, 工学部, 助教 (60274859)
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Keywords | 光蓄電池 / 酸化チタン / ポリアニリン / 傾斜構造 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、光で充電できる蓄電池(光蓄電池)の開発である。平成18年度中に、導電性高分子ポリアニリン(PANi)と酸化チタン(TiO2)を複合化したTiO2/PANi電極が、従来の酸化チタン/カーボン系複合電極より大きな光蓄電容量を持つことがわかっている。このため平成19年度はTiO2/PANi電極を主な研究対象とし、年度前半は「光蓄電反応による電位形成と反応電流」の関係の解明を目的に変調レーザ光を用いた周波数応答による反応解析装置の開発を、年度後半は励起ホールの光蓄電への寄与を明らかにするために、電気化学的測定とともに光充電時のPANiの高分子鎖中の窒素原子の電子状態を光電子分光にて調べ、光蓄電反応の詳細な解明と高効率化に取り組んだ。 その結果、前半の反応解析装置の開発では、TiO2/PANi電極では従来のTiO2/カーボン系電極と集電電極(FTO透明導電膜)の配置が異なるため、変調レーザ光の入射制御が困難となり十分な成果を上げることができなかった。 後半のTiO2/PANi電極の光蓄電反応の解明では、光照射によりPANi鎖内にプロトンが取り込まれ、それと同時にPANi重合時に取り込まれたアニオンが脱離することで光蓄電されていることがわかった。また、これらの研究の過程でPANiの比率が光照射面から徐々に増加していく傾斜構造を有するTiO2/PANi複合膜電極が高い光蓄電性を持つ事が明らかになった。これにより平成19年度当初で光蓄電量2.5mC cm^<-2>程度であったものが約50倍の130mC^<-2>程度まで上げることができた。この成果は「光機能性複合材、光蓄電池及び光機能性複合材の製造方法(特願2008-025673)」として特許出願を行った。
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