2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
藤井 宏樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 主幹研究員 (80354306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 清 独立行政法人物質・材料研究機構, 光触媒材料センター, 主幹研究員 (90343855)
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Keywords | 二硼化マグネシウム / 化学溶液処理 / 微結晶 / 炭素置換 / 臨界電流密度 |
Research Abstract |
18年度は微粒子作製の準備として、生成した微粒子、あるいはプロセス中における微粒子酸化防止のために、グローブボックスを購入し、実験環境整備を行った。この一方で、市販のMgB_2粉を微細化する試みも行い、粉末を有機酸性溶液に含浸すると、MgB_2粒子の周囲に付着しているMgO層が溶解して、粒子の微細化が起こることを見出した。未処理の場合、粒径は数μmにまで達するのに対し、含浸処理によって数百nmにまで減少した。 この粉末を充填粉として、Feをシース材として線材作製を行った。線材のX線回折を測定すると、含浸処理によってMgB_2の110ピークの高角度側へのシフトが見られ、α軸長が減少していることが明らかとなった。また、通電法による臨界電流測定から、含浸処理粉の使用により高磁界側での臨界電流密度が向上し、10Tでは5倍程度になることが明らかとなった。磁化測定から求めた臨界電流密度でも同様の結果が得られ、含浸処理粉の使用により、高磁界側でのピン止め力が向上していた。 これらの特性の向上は結晶粒の微細化及び炭素置換によるものと考えられる。結晶粒の微細化は結晶粒界の増加を意味するが、MgB_2においては粒界がピン止め点として作用する。また、α軸長の減少は硼素サイトへの炭素置換が起こったことを示唆する。含浸処理中に粒子表面に吸着した有機溶媒が、炭素源として寄与したものと思われる。炭素置換は上部臨界磁界の向上を引き起こし、高磁界下でのJ_c特性を改善することになる。
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