2006 Fiscal Year Annual Research Report
走査型トンネル顕微鏡によるバリスティックホットエレクトロンデバイスの基礎研究
Project/Area Number |
18560328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
町田 信也 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (70313335)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / 弾道電子放出顕微鏡 / ホットエレクトロン / バリスティック伝導 / ホットエレクトロトランジスタ / ヘテロ接合バイポーラトランジスタ / エミッタ充電時間 / 電子波回析 |
Research Abstract |
THzオーバーの遮断周波数が期待される将来の超ヘテロ接合によるホットエレクトロントランジスタの基本特性を、走査型トンネル顕微鏡(STM)の応用技術である弾道電子放出顕微鏡(BEEM)を用い、走査探針(エミッタ)、半導体表面の極薄膜金属(ベース)、半導体(コレクタ)からなる擬似三端子極微細ホットエレクトロン素子を構成し、、極微小エミッタから電子が放出されることによる量子回折効果のデバイス電流転送効率への影響、ベース・コレクタ走行層中のバリスティック伝導特性を詳細に調べ、ホットエレクトロントランジスタによるTHzを超える動作の可能性確認を目的としている。このためには基礎技術であるBEEMの注入効率の改善、ノイズの削減、そして測定値の安定化を行う必要があった。BEEM注入効率の改善については、ベース金属の薄膜化を行い、幕圧3nmまでの平坦な薄膜蒸着を実現することで従来の約6倍の注入効率を得た。測定ノイズの削減に関して、素子の高抵抗化、測定手法の改善、装置への供給電圧の安定化を行うことでバックグラウンドノイズを20fA以下まで削減した。また、蒸着された金表面の凹凸の影響で測定値がばらつく問題に対しては、測定された膜厚から数値補正を行う事で測定値を均一化する手法を提案した。 理論研究では、トランスミッション形式を用い、最もトランスコンダクタンスの大きなホットエレクトロンエミッタ構造が熱電子放出型であることを明らかにし、さらにエミッタに高ドーピング濃度のキャップ層を設けることで、バンド構造の非放物線性によりエミッタ充電時間を高速化できることを明らかにした。
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