2006 Fiscal Year Annual Research Report
新材料及び新構造MOSFETの準バリスティック量子輸送モデリングに関する研究
Project/Area Number |
18560334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
土屋 英昭 神戸大学, 工学部, 助教授 (80252790)
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Keywords | ナノスケールMOSFET / 3次元構造MOSFET / 量子補正モンテカルロ法 / 粒子分割法 / 量子閉じ込め効果 / 準バリスティック輸送 / 後方散乱 |
Research Abstract |
半導体集積回路の性能向上は,これまで基本的に,回路の最小構成ユニットであるSi MOSFETの微細化によって支えられてきた。しかし,最小微細化寸法が100nm以下の技術世代を迎えるに従い,チャネル長の縮小化やゲート酸化膜の薄膜化といった寸法スケーリングだけでは,十分な性能向上が難しいことが顕在化してきた。本研究では,ポストスケーリング時代における新材料及び新構造MOSFETの性能予測と最適素子構造設計について,筆者が独自に開発した量子補正モンテカルロ・デバイスシミュレータ(MONAQO)を用いて研究することを目的としている。 平成18年度はSi-MOSFETを対象とし,特に短チャネル効果を抑制したデバイス設計を目指すため,MONAQOを3次元Fin構造へ適用する研究に取り組んだ。電子密度勾配で表現される量子補正ポテンシャルを3次元MOS構造に直接適用すると,粒子の空間分布が離散的になり量子補正がうまく機能しない。そこで,3次元空間に十分な数の仮想粒子を分布させる「粒子分割法」を提案し,実際に,立体チャネル構造MOSFETへの適用を行った結果,チャネル内の2次元量子閉じ込め効果を高精度に解析できることが確認できた。立体チャネル構造MOSFETの2次元量子閉じ込め効果によるしきい値変動を考慮した高精度な電流駆動力の評価に威力を発揮すると期待している。 また,チャネル長が10nm付近で期待されているバリスティック輸送の影響についても研究を行った。従来,準バリスティック輸送下での電流駆動力は,チャネルのソース端付近で発生する後方散乱が主に決めていると考えられていた。しかし,本研究の結果からは,ソース端近傍だけでなくチャネルの広い範囲での後方散乱が電流駆動力を決定しているという描像が明らかとなった。極限構造でのMOSFETの電流駆動力を支配する散乱機構の解明につながる成果と考えている。
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Research Products
(6 results)