2007 Fiscal Year Annual Research Report
基本波および3倍波併用型の高性能弾性表面波センサー装置の基礎研究
Project/Area Number |
18560343
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
疋田 光孝 Kogakuin University, グローバルエンジニアリング学部, 教授 (00407157)
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Keywords | センサー / センサ・ネットワーク / 弾性表面波 / 弾性表面波センサー / ガスセンサー / ZigBee |
Research Abstract |
センサ・ネットワークと言われる新概念が提案された。非常に多数のセンサ・ノードを家庭やオフィスあるいは病因や公共施設などに配置し、各センサーからの信号を移動通信と同様の手段により構築したネット・ワークを介して集約する。データに基づき住環境制御、環境観察や保護などを行う。 環境汚染物質をセンシングしたり、将来の燃料電池自動車用の水素ガス漏洩をセンシングする新しい弾性表面波ガス・センサーを提案した。従来の弾性表面波ガス・センサーは圧電結晶基板が水晶に限定されていた。さらに発振器用の帰還回路アンプが必要である。ガスの量は、発振周波数のわずかなズレに対応するため、周波数ズレをモニターする回路も必要であった。本研究では、新センサー構造により結晶に対する制約を取り除いた。2.4GHz帯ZigBeeセンサ・ネットワークの2.4GHz帯周波数信号の分周と逓倍した信号によりセンシングすることで、センサ装置の飛躍的な簡略化を提案した。トランスジューサの工夫で、基本周波数と3倍周波数の波の励振の可能性を示し、センサーとしてのダイナミック・レンジを大幅に拡大する方針を示した。 平成19年度は、18年度に開発した弾性表面波励振用トランスデューサを設計するシミュレーションソフトを活用し、本研究の最も重要な部分である、基本波と3倍波を効率良く励振出来るトランスデューサを実際に設計した。シミュレーション結果に基づき設計した幾つかのトランスデューサ構造を、本学SMBCのMEMS用プロセス装置を活用して、具体的に試作した。別途試作用のプロセス技術の検討も並行して行い、数ミクロン程度の電極指を持ったトランスデューサの試作を可能とした。設計結果に基づき試作したトランスデューサを評価した結果、以下のことが分かった。(1)従来の設計に基づく電極指幅と電極指間のスペース幅が等しいトランスデューサでは、基本波の励振と3倍波の励振を両立させることは出来ない。(2)電極指幅とスペース幅を異ならすことで基本波と3倍波の励振が生ずる。さらに、(3)複数の電極指幅の導入と、スペース幅と組み合わせることにより、基本波と3倍波の励振を両立させかつある程度の励振効率を実現出来る可能性がある。今後、これら一連の試作結果を元に、さらに設計、試作を行い、両者の最も良い両立条件を見出す予定である。また、これらのセンサーを実際にセンサ・ネットワークへの適用する場合の問題点も明らかにし、高性能弾性表面波センサー装置の可能性を示して行く予定である。
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Research Products
(8 results)