Research Abstract |
高性能で低消費電力な携帯電話・デジタルカメラなどの携帯情報機器を低コストで実現するためには,その部品である「システムLSI」の低コスト化が必要である.得に,少量多品種のシステムLSIを低コスト化するためには,回路転写(フォトリソグラフィー)用の原版(フォトマスク)作成費用を削減することが必須である.本研究では,低コスト化を実現するために,フォトマスクが不必要なLSIパターン形成技術である電子ビームウエハ直接描画技術(EB直描)を用い,本技術に特化した低コストシステムLSI設計技術を開発することを目的としている. EB直描技術は,フォトマスクが不要であるが,実生産で使用するためには,パターン形成に必要な描画時間を飛躍的に短くする必要がある.このためには,複数のパターンを同時に形成できる,部分一括露光方式を使用することが必須である. 本年度は,部分一括露光方式のEB直描に最適化された,個別生産向け可変論理LSIアーキテクチャ技術VPEXの研究を重点的に実施した.昨年度の研究でVPEXの基本アーキテクチャとしては,(1)2入力排他的論理和(EXOR)ゲートをアレイ状に敷き詰めロジックエレメント(LE)とする,(2)本LEは第1ビアレイアのパターンを変更することにより,NAND,AND,NOR,ORなどの2入力のすべての論理を出力できる,(3)LEト間の配線は第3ビアレイアの変更により自由にプログラムが可能な構成とした. 本年度はこのVPEX方式が他のプログラムロジック方式(ルックアップテーブル方式および積和演算器方式)と比較して,スピード・面積・消費電力の点でもっとも優れていることを回路シミュレーションにより実証した.また,LE間の自動配線ツールを試作し,約70%のロジック占有率でも自動配線が可能なことを実証した.さらに,0.18μmCMOSプロセスでデバイスのレイアウト設計,試作を行った.
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