2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域気候パラメータを考慮した降雨時伝搬特性の世界的推定法の研究
Project/Area Number |
18560360
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
細矢 良雄 Kitami Institute of Technology, 工学部, 教授 (20241424)
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Keywords | 電波伝搬 / 降雨時伝搬 / 世界的推定法 / 降雨減衰 / 降雨時交差偏波識別度 / サイトダイバーシチ / 最悪月 / ITU-R勧告837 |
Research Abstract |
(1) 降雨時伝搬特性に影の大きい雷雨率(対流性降雨年総雨量/全降雨年総雨量)について、実測値であるTRMM(熱帯降雨観測衛星)データと、6時間雨量数値情予報に基づくITU-R勧告P.837の推定値との比較を行い、P.837-3推定値(15年間予報値に基づく)とP.837-5推定値(40年間予報値に基づく)とでは、前者がより実測値に近いことを明らかにした。統計期間が長いのに誤差が大きいのは、過去にさかのぼってデータ解析したために、予報アルゴリズム欠陥による予測誤差が大きいと想定される古い予測データを使用したためと思われる。これは、現在のITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)の研究方針の不備を示したものである (2) ITU-R勧告P-837を用いて、伝搬特性推定法に用いる降雨強度分布を検討し、降雨減衰が問題になる熱帯/温帯地域においては、現在提案されている対数正規分布・Weibull分布・M分布の中でM分布が最適であることを明らかにした。 (3) 異積分時間降雨強度分布変換に関する簡便な方法としてITU-Rが推奨している勧告P.837について検討し、現勧告で考慮されていない雷雨率などの地域気候パラメータを用いると推定精度が向上することを明らかにした。また降雨強度0.1%値で正規化するDamosso法と組合せることにより、変換精度がさらに向上することを明らかにした。 (4) 異積分時間降雨強度分布変換に関するITU-R勧告P.837法は簡便だが理論的根拠のない実験式である。これに対し雨滴落下時間間隔に関する確率過程モデルから導出され、任意の積分時間に対する変換が可能なLavergnat-Goleモデルの全世界への拡張を目指した研究を行い、雷雨率や降雨強度分布勾配をどの地域気候パラメータを取り込むことにより、既存の変換法と同程度以上の変換精度が達成できることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)