Research Abstract |
本研究は大規模かつ高密度な自律分散無線ネットワーク通信を実現することを目指し,これを可能とする自律的な通信方式と網構成法を確立することを目的としている.そのために広域分散のマルチホップネットワークを対象として,タイミング同期とルーティングのアルゴリズムを一つの有機的に連携したシステムとして構築することを最終目的とした.そこで,タイミング同期のプロトコルとして,まず現在最も一般的なIEEE802.11系無線LANプロトコルを想定し解析を行った. その結果,まず(1)現実的な条件の下で現在の最も一般的な無線LANプロトコルがそのままでは大規模なアドホックネットワークやセンサネットを実現する際に本質的な困難を生じることが判明し,これを回避する新しいタイミング同期のプロトコルを設計する手がかりが得られ,次頁に記載する重要なジャーナルにおいて発表を行った.さらに(2)タイミング同期とルーティングのアルゴリズムを結合した新しい分散アルゴリズムの提案と検証がなされ,これについては現在特許出願及び論文発表予定である. また以上の結果,(1),(2)に関してそれぞれ下記の(a,b,c,d)にて発表を行い,国際的な論文誌にも投稿中である. さらに上記の解析の副産物として,新しい同期問題の解析方法も得られ,これを下記の研究発表に記載した. (a)Hisa-Aki Tanaka, Osamu Masugata, Daisuke Ohta, Akio Hasegawa, and Peter Davis : "Self-adaptive timing-synchronization ability in ad hoc networks based on IEEE 802.11 MAC protocol, "Proceedings of 2006 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications(NOLTA'06), pp.959--962(Bologna, Italy, September 11--14,2006). (b)田中久陽,長谷川晃朗,デイビス・ピーター:"アドホックネットワークの時間(タイミング)同期に関する研究動向",アドホックネットワーク・コンソーシアム 第3回シンポジウム,平成18年11月22日(水),早稲田大学 西早稲田キャンパス18号館 国際会議場(第3会議室) (c)田中久陽,太田大輔,長谷川晃朗,デイビス・ピーター:"IEEE802.11を用いたアドホックネットワークにおける時刻同期の自律的適応能力(Self-adaptive timing-synchronization ability in ad hoc networks based on IEEE 802.11 MAC protocol)",電子情報通信学会 非線形問題研究会(NLP),(6月22・23日開催,会場:中央大学理工学部)(2006-06). (d)増形惣,田中久陽:"IEEE 802.11アドホックネットワークにおける時刻同期能力改善手法の比較検討(Comparative study of Clock Synchronization Methods in IEEE 802.11 ad hoc networks)",電子情報通信学会 非線形問題研究会(NLP),(6月22・23日開催,会場:中央大学理工学部)(2006-06)。
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