2008 Fiscal Year Annual Research Report
光アクセスシステムにおける光ファイバ非線形効果に関する研究
Project/Area Number |
18560387
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
前田 譲治 Tokyo University of Science, 理工学部, 准教授 (10256670)
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Keywords | フォトニックネットワーク / 光ファイバ通信 / 光アクセス / 非線形光学 / マイクロ波 |
Research Abstract |
本研究では、高速光アクセスネットワークにおける光カー効果による非線形歪とそのシステムに対する影響を、シミュレーションと実験の両面から調べた。物理構成はPONを想定し、ベースバンドデジタル信号の伝送と、光ファイバ無線システム等のアナログ伝送とに分けて研究を進めてきた。本年度は特に、光アナログ伝送の実験に重点を置いた。 実験では、周波数10.8GHzの副搬送波による速度111MbpsのBPSK伝送を行なった。ファイバ伝送パワーをOdBmから+20dBmまでの範囲で変化させ、受信端における信号波形、受信高周波信号パワーと、BPSK伝送を行なった場合に発生するペナルティを測定した。信号波形からは、非線形現象による波形劣化および光信号の変調度の変化を観測した。 伝送距離25kmの場合、送信機出力パワーが+15dBmまでは、伝送パワーが大きいほど受信高周波信号パワーが上昇し、ペナルティが減少した。高周波信号パワーの増加率と、ペナルティの減少度はよく一致した。これはファイバ中の自己位相変調と分散の協働によってパラメトリック利得が発生し、分散による信号劣化を補ったためであると推定される。一方、送信機出力パワーが+15dBmを超えると、受信信号に大きな雑音が重畳し、信号伝送が不可能になった。雑音の重畳とともに伝送光パワーの飽和が見られることから、これは伝送ファイバ中のブリルアン散乱の影響であることが分かった。 本実験の結果、高速光アナログ伝送で問題となる波長分散によるフェージングは、比較的大きい伝送パワーを用いることで抑制可能であるが、伝送特性の改善度はブリルアン散乱によって制限されることが明らかになった。この結果は、光ファイバ無線を利用した無線アクセスシステムの高速化・サービスエリアの拡張に安価かつ有効な技術を提供するものである。
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Research Products
(5 results)