Research Abstract |
皮膚科分野における皮膚ガン早期発見のため,皮下腫瘍部の酸素代謝情報(血流,血液濃度,酸素飽和度)と形態情報(深さ,厚み,大きさ)を正しく測定する手段が必要である.本研究は,レーザースペックル血流計測法を2波長方式に改良し,血流と血液濃度・酸素飽和度の3情報を同時計測すると共に,すでに開発済みの腫瘍部の深さ・厚みの形態データ推定法と統合することで,血流,分光とトポグラフィの計測機能を併せもつハイブリッドな生体用光トポグラフィの開発を目的とした. 1.前年度構成の装置で得られるトポグラフィ画像データに対して,ガウス型点像拡がり関数で光散乱に伴うボケをモデル化し,デコンボリューション処理で画像の鮮明度を改善修復する機能を開発・付加した. 2.等吸収点波長を利用した独自のアルゴリズムを組み込み,対象領域の深さと厚みをまず特定し,その条件での血液濃度(mol/liter)と酸素飽和度(%)を絶対値校正する実験式を導出した.対象領域の深さと厚みに依存し,2ないし3種類の条件判別を併用することで,校正が良好に行えることを確認した. 3.前年度構成した装置を基礎に,スペックル血流・分光計測系とトポグラフィ計測系のハードウェアを統合し,併せて動作・制御プログラムを一体化した.これより,血流,血液濃度,酸素飽和度別のトポグラフィ画像を液晶ディスプレイに並列表示可能になった.最後に,人工皮膚ファントムおよびヒト前腕部に対して,検証実験を行い,目的の時間分解能と空間分解能がおおよそ実現できることを確認して,本研究課題を終了した.
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