Research Abstract |
筋電図と筋音図を同時計測するために,長さ20mm,幅4mmの銅板を間隔12mmで並べて,その間に筋音センサを置く電極を作成した.電極には,計装用演算増幅器を配置し,増幅率1000倍で差動増幅を行った.また10から1000Hzのバンドパスフィルタを付加した.被験者は座位で,上腕を体幹に沿わせて肘関節を90度にした姿勢で前腕を台に固定した.最大収縮力の30%の等尺性収縮を行った.同時計測用電極を貼付する場合と貼付しない場合について計測し,筋音図のパワースペクトルを求めた.その結果,同時計測用電極を貼付すると,40Hz付近の信号がわずかに減衰することが分かった. 上腕二頭筋の等尺性収縮を対象として,2チャネル筋音図を計測した.被験者は椅子に座り,上体をベルトで固定した.上腕を体幹に沿わせ,肘関節角度が90度になるように前腕を台の上においた.手関節に歪みゲージを介するワイヤをとりつけて,肘関節角度を90度に固定した.筋音センサの一つを上腕二頭筋の筋腹に貼付し,もう一つを筋腹から近位側に15,20,25,30mmの位置に貼付した.筋電図計測用の電極を筋腹より遠位側に電極間距離30mmで貼付した.等尺性収縮力を,最大随意収縮力の15,20,25,30%とし,3秒間一定収縮力を発生するように被験者に指示した.各目標収縮力について6回ずつ計測した.等尺性収縮力は,被験者にビジュアルフィードバックされた.計測した筋音図の内,0.5から2.5秒の区間を解析した.2チャネルの筋音図の相互相関関数をもとめて筋音図の伝播時間を求めたところ,筋音センサ間の距離が長いほど伝播時間が長かった.また,等尺性収縮力が大きい程,伝播時間は短くなった.これには,2つの原因が考えられる.一つは,等尺性収縮力が大きくなると,太い筋線維が活動し,太い筋線維の方が筋電図の伝播速度が速いことから,結果として筋音図の伝播時間が短くなることである.もう一つは,等尺性収縮力が大きくなると,筋が硬くなることから,振動波が高速に伝播することである.
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