2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの運動制御における筋粘弾性調節機構の多チャネル筋音図と筋電図計測による解析
Project/Area Number |
18560417
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内山 孝憲 Keio University, 理工学部, 准教授 (50243324)
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Keywords | 筋音図 / システム同定 / 弾性 / 粘性 / 部分空間法 / 前頸骨筋 |
Research Abstract |
健常成人男子7名を被験者として、総腓骨神経を電気刺激することによって前頸骨筋に誘発される筋音図および筋電図を計測した。まず刺激強度を強くしても筋音図の振幅が増加しない振幅を100%とし、100および10、25、40、50、75%の振幅のときの筋音図を計測した。入力を刺激パルスとし、出力を筋音図とするシステムを、部分空間法を用いて同定し10次伝達関数で近似した。これをバネ、ダッシュポットおよび質量からなる力学系の2次遅れ系を5つ組み合わせたものと考え、固有周波数および減衰係数に関わる係数と筋音図の振幅との関係を調べた。その結果、筋の弾性を反映する固有周波数は、筋音図の振幅の増加とともに増加するものと、ほとんど変化しないものに分かれることが分かった。前者は筋の能動的な性質、つまり筋活動度に依存して変化する弾性を表している。後者は筋活動に依存しない弾性を表しており、皮膚や結合組織などの受動的な性質を表していると考えられる。本研究では、一度の計測で能動的性質と受動的性質を知ることができ、原理的には電気刺激を筋電図におきかえることにより、従来のように極めて限定的な実験条件(等尺性収縮ときに変位の微小な外乱を与える)から開放されることが期待される。また、筋活動度の変化による筋の弾性の調節機構を筋音図によって始めて明らかにしたものである。 筋音図と筋電図を多点計測して伝播様式を解析したところ、筋の側方への拡大は、センサを貼付ける位置によって異なることが分かった。また、前述のシステム同定を行ったところ、センサの位置によって伝達関数を良好に推定できる場合とそうでない場合があることが分かった。さらに、通常筋音図が計測される筋の側方への変位に対して直交する方向の振動を計測したところ、その伝播速度や波形は、通常の筋音図と同様の性質を示すことが分かった。
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Research Products
(3 results)