2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しい数値最適化手法による最適制御と応用に関する研究
Project/Area Number |
18560429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田地 宏一 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00252833)
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Keywords | モデル予測制御 / 相補システム / 線形相補性問題 / セミスムースニュートン法 / 特異摂動系 / 特異摂動法 |
Research Abstract |
本年度の研究の主な概要は以下の二つである.一つは,剛体との接触を伴うロボットアームによる対象物の位置制御問題において,接触点での接触モード(滑り・転がり接触)とその切り替わりを考慮したモデル予測制御問題を取り扱った.各時点での接触モードを固定すれば,制御入力を求める問題は二次計画問題であり,接触力と相対加速度および接触モードを求める問題は線形相補性問題であるということを利用し,まず適当な制御入力を与え,求める制御入力が収束するまで線形相補性問題と二次計画問題を交互に繰り返し解くという方法を提案した.さらに,それぞれの解法としてセミスムーズニュートン法を用いた.アルゴリズムの理論的な収束性は今後の課題であるが,シミュレーション実験の結果,非常に短い時間で制御入力を求めることができた.この結果は,第6回計測自動制御学会制御部門大会で講演し,統計数理研究所共同研究リポート「最適化:モデリングとアルゴリズム20」に論文としてまとめた.二つめは,特異摂動系に対するモデル予測制御問題を取り扱った.特異摂動系は速いダイナミクスと遅いダイナミクスを併せ持つシステムであり,電動モータと機械系を融合したシステムなど多くみられる.これに対しモデル予測制御を行う場合,最適制御問題の評価区間は遅いダイナミクスにあわせ長く,またステップサイズは速いダイナミクスにあわせ短くしなければならず,最適制御問題の次元が非常に大きくなる.本研究では,特異摂動法の考え方を適用し,まずステップサイズの長い遅いシステムに対応した最適制御問題を解き,次にその解をステップサイズの短い速いシステムに対応した最適制御問題を用いて修正するという二段階法を提案した.提案した手法の誤差評価は今後の課題であるが,シミュレーションにより高速に精度良く制御入力を決定できることを示した.この結果は,第49回自動制御連合講演会で講演した.
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