2006 Fiscal Year Annual Research Report
分布定数システムにおける空間プロファイル制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
18560438
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
今井 純 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (50243986)
|
Keywords | 分布定数系 / 温度プロファイル制御 |
Research Abstract |
有限要素法に代表される重みつき残差法は、本来の物理モデルである偏微分方程式にもとづいて有限次元分布定数系にてモデリングする手段と見ることができる。有限次元分布定数系を用いて空間プロファイル制御を行う上でスピルオーバ問題を回避しつつ一定の制御性能を空間プロファイルの意味で達成するためにはもとの偏微分方程式系をカバーするような不確かさのクラスを構成する必要がある。空間プロファイルの制御性能の指標としては空間的なL2ノルムとL∞ノルムの2通りが候補となり、本年度の研究実績として後者について線形行列不等式ベースの有限次元設計問題に帰着できる見通しが本年度に得られている。また前者においてはシステムの半群を生成する作用素のスペクトル分布にもとづいた評価の計算と密接な関係があるとの示唆が得られ、引き続き本課題にて取り組む予定である。さらに熱反応炉内の流体モデルに対してフィードバックループの存在を前提とした有限次元分布定数系の導入によりスペクトル構造としてのモデル化および誤差評価の可能性が得られた。さらにロバスト性能保証の計算にスケーリングオペレータの導入により保守性をさらに減じる試みも行った。制御系の性能限界の観点から、ロボットアームの性能設計および柔軟アームに関する機構ならびに制御系設計を行っている。柔軟アーム系や熱伝導系における無定位性の取り扱いにおいては規約分解性の不確かさを考慮することでより効果的なモデリングが行える可能性を検討した。以上、本年度得られた知見は(1)空間プロファイル制御における解法シナリオにおいて性能指標は空間L∞ノルムとともにL2ノルムも検討すべきであること,(2)空間プロファイル制御の仕様策定において、限界性能の指標の重みを柔軟に選定する必要があること、(3)有限次元分布定数系においては空間プロファイルに関する制御性能評価を半群生成作用素のスペクトル分布により容易に得られるようになる見通しが得られたこと、の3点にまとめられる。
|