2007 Fiscal Year Annual Research Report
生物制御理論の構築に向けたアトラクターの解析・制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
18560443
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 健康 Waseda University, 理工学術院, 教授 (80063808)
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Keywords | 制御理論 / 生物制御 / アトラクター制御 |
Research Abstract |
初年度の研究成果の整理と評価を行いながら、引き続き生物システムのモデリングの問題と制御メカニズムの解析を中心に検討をおこなった。本年は新たに生物システムの制御メカニズムを人工物の制御に応用する研究もおこなった。モデリングの問題としては、生物システムの複雑・大規模・非線形モデルを対象として、機能を確保できる範囲でモデルの簡略化の方法を提案した。具体的には、分子レベルの概日リズムの生化学反応モデルをについて、リズムを維持する範囲(周期アトラクターの軌道安定性を維持する範囲)で、生化学反応ネットワークの相互チャンネルの重要性を評価し、その評価の順位によってモデルを低次元化するという方法である。制御メカニズムについては、昨年に引き続いて、概日リズムの温度補償という制御を実現している速度パラメータを推定するアルゴリズムについて検討した。本年は特に、変異体における温度補償を実現するパラメータ推定をおこない、実験結果に合うシミュレーションモデルを得ることに成功した。温度補償についてはさらに、周波数の高い環境温度変動に対するロバスト性を持つパラメータ推定問題への取組を開始した。これは来年度に向けた継続検討課題である。概日リズムに代表される周期アトラクターを内部にもつ人工物の制御アルゴリズムについても検討し、飛行船モデルを例題としてその構成法を提案した。
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