2007 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートの微視的構造の評価への高次ステレオロジーパラメーターの導入
Project/Area Number |
18560449
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
五十嵐 心一 Kanazawa University, 自然科学研究科, 教授 (50168100)
|
Keywords | 2点相関関数 / 空間統計学 / シミュレーション / 透水係数 / 高性能AE減水剤 / 凝結遅延 / 個体骨格構造 / 連続性 |
Research Abstract |
2次のステレオロジーパラメーターをセメントペーストの組織評価に適用し,材齢の進行や配合の相違による組織変化を明らかにした。本年度にて得られた主な結果は以下のとおりである。 (1)シミュレーションにより再現された構造と反射電子像の空隙構造を比較し,シミュレーションは実際の組織を再現しないことを指摘した。 (2)シミュレーションでは全毛細管空隙構造を画素寸法以上の空隙で表現し,反射電子像はある寸法以上の空隙のみを表す。よって,これらの空間構造(量と位置)が異なるのは当然であり,画像として観察された組織とシミュレーションの組織の比較が可能で,有意であるのは限られた場合であることを指摘した。 (3)粗大毛細管空隙の2点相関関数とセメントペーストの透水性の間には,良好な相関性が存在する。したがって,全毛細管空隙構造を明らかにしなくても,粗大毛細管空隙構造の特徴を把握すれば,セメント系材料の物質透過性や耐久性を評価することの可能性が示唆された。 (4)若材齢(凝結時)の組織評価に,2点相関関数を導入し,高性能AE減水剤の添加が,組織形成に及ぼす影響を明らかにした。 (5)高性能AE減水剤による凝結遅延は物理的な要因が大きく,水和反応は遅延しないことを示した。 (6)高性能AE減水剤により凝結時間が変化しても,終結時の固体相の連続性はいずれの配合も等しい。すなわち,水和度が異なっても,ある一定の連続性を持った個体骨格構造が形成されたときに,セメントペーストは終結に達することが明らかとなった。
|